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2022.08.26
EDA Express オンライン・インタビューは、ハードウェア設計関連の様々なテーマについて、ゲストを招待してオンライン(Zoom)で色々な話をライブで聴くという企画です。
特定のテーマについてゲストに話を聞くだけでなく、聴講者の方々も含めた参加者全員が情報交換や意見交換できるよう、少人数制のミーティング形式で開催します。
Zoomでの顔出しは自由、発言、チャットは基本的に制限無し。オープンな形でありながら、クローズドなライブ・イベントとして開催しますので、情報収集の場、業界関係者とのコミュニケーションの場としてご利用下さい。
オンライン・インタビュー企画の第8弾は、「今さら聞けない"RISC-V"について聞いてみる」 と題して、DTSインサイト社をゲストに招いて開催します。
組込み業界の老舗企業であるDTSインサイト社は、商用RISC-Vプロセッサのリーディング・カンパニー米SiFive社の代理店として、2019年から国内のRISC-V市場で活躍されています。今回のインタビューではRISC-Vに関する基本的なところからスタートし、RISC-Vの学習法や活用事例、失敗しないための検討ステップなど、ビギナー視点で色々と話を伺う予定です。
RISC-Vにご興味お持ちの方はどなたでも参加頂けますが、これまでRISC-Vに触れる機会が無かった方、これからRISC-Vを考えているという方は是非この機会にインタビューに参加頂き、RISC-Vに関する生の知識・情報をお持ち帰り下さい。
EDA Express オンライン・インタビュー 第8回
テーマ :今さら聞けない"RISC-V"について聞いてみる
ゲスト :DTSインサイトの皆様
開催日時 :9月29日(木)17:00-18:00 ※途中入退出可能
参加 :無料、最大20名程度の参加者を想定しています
インタビュー構成:
・ゲストのご紹介
・RISC-Vとは?
-背景/歴史、アーキテクチャの特徴、コミュニティ/プレーヤーなど
・RISC-Vのススメ
-モチベーション、活用メリット、活用事例、学習法など
・SiFiveの紹介
-会社概要、製品、採用事例、エコシステムなど
・RISC-Vの活用検討
-RISC-Vあるある(よくある間違え、注意点)、検討ステップと環境など
・インタビュー参加者からの質問
-事前に受け取った質問、その場での質問
インタビュアーはEDA Express 菰田が担当。インタビュー終了後は雑談タイムとします。
オンライン・インタビューに関するご質問などは
こちらよりお願い致します。
2022.08.25
2022年8月23日、IC Insightsのレポート:
半導体分野の調査会社米IC Insightsのレポートによると、2022年世界の半導体設備投資の総額は前年比21%増の1855億ドルで過去最高を更新する見込み。この数字は年初の予測に対する下方修正となるが、依然として設備投資の需要は大きいと見られている。
半導体の設備投資が対前年比で3年連続して2桁増となるのは1993-1995年以来となる。
多くのIDMのウエハファブの稼働率は、今年の上半期まで90%をはるかに超えており、多くの半導体専業ファウンドリは稼働率100%だった。
2021年と2022年の半導体設備投資の合計は3,386億ドルに達する見通しで、IDMとファウンドリは最先端のプロセス技術で構築されたロジックおよびメモリデバイスの製造に多額の費用を費やしているが、急激なインフレと世界経済の急速な減速により、半導体メーカーは今年の半ばに積極的な拡大計画を再評価することになり、既に一部の主要なDRAMおよびフラッシュメモリ・メーカーは、今年の設備投資予算の削減を発表している。また、多くのサプライヤーは2023年には設備投資の削減が予想されると指摘している。
※画像はIC InsightsのWeb上のデータ
2022.08.24
2022年8月11日、IntelはCadenceのエグゼクティブ・チェアマンLip-Bu Tan氏が同社の取締役に就任することを発表した。
発表によるとLip-Bu Tan氏は2022年9月1日付でIntelの取締役に就任。取締役会のM&A Committeeに参加する予定だという。
Lip-Bu Tan氏は、Walden Internationalの会長およびCelesta CapitalとWalden Catalyst Venturesの創設マネージング・パートナーでもあり、ベンチャーキャピタルとしての絶大な実績を持っている人物。つい先頃、半導体業界最高の栄誉と称されるノイス賞を受賞している。
2022.08.24
2022年8月22日、WSTS(WORLD SEMICONDUCTOR TRADE STATISTICS:世界半導体市場統計)は最新の2022年半導体市場予測を発表した。
2022年Q2までの市場実績をもとに更新されたWSTSの市場予測によると、2022年の世界半導体市場は前年比13.9%増の6330億ドルとなる見通し。今年6月に発表した予測を下方修正する形となった。(6月に発表された春季市場予測では16.3%増の6465億ドルと予測していた。)
2023年の市場予測は前年比4.6%増の6620億ドルで、こちらも6月時点の予測(5.1%増)から下方修正された。
2022年の市場予測によると、ロジック24.1%、アナログ21.9%、センサー16.6%と力強い成長が見込まれている分野もあるが、稼ぎ頭のメモリは8%の成長に留まる見通し。地域別では、最大市場のアジア太平洋10.5%、アメリカ23.5%、ヨーロッパ14.0%、日本14.2%の成長が見込まれている。
※画像はWSTSのデータ
2022.08.18
2022年8月15日、半導体分野の調査会社TrendForceは、EDA市場についての調査データを発表した。
TrendForceによると、世界のEDAソフトウェアの市場規模は2020年から2024年にかけて81億ドルから136 億ドルに成長。年平均成長率は13.8%になると予測している。
現在のEDAソフトウェア市場はSynopsys、Cadence、Siemensの3社が寡占しており、TrendForceの分析による2021年の市場シェアは以下の通り。
Synopsys シェア32%、Cadence シェア30%、Siemens シェア13%
※画像はTrendForceのデータ
詳細は不明だが、上記のシェアよりも各社の売上には大きな開きがあるため、TrendForceの言うEDAソフトウェア市場はIPやハードウェアベースのソリューションを除いた純粋なEDAソフトェアのみなのかもしれない。
TrendForceはEDAソフトウェアにおける米国企業の強さを挙げ、米国ベースのEDAソフトウェアが無ければ、中国は3nmプロセス以降の高度な半導体設計が困難になり、中国の半導体産業の長期的な発展に影響を与える可能性があると指摘している。
2022.08.18
2022年8月17日、Synopsysは、2022会計年度第3四半期(22年5-7月)の四半期決算を報告した。
発表によるとSynopsysの2022会計年度Q3の売上は、前年同時期比約18%増、前Q2比約2.5%減の12億4800万ドル、営業利益は前年比約12%増の2億2260万ドルだった。(※GAAP基準による会計結果)このQ3売上はQ2売上報告時の予測を若干上回るもの。Synopsysは2021年度Q3から4四半期連続で売上記録の更新を続けていたが、このQ3で記録の更新はストップした。しかしながら売上的には史上3番目の好結果で依然好調を維持していると言える。
SynopsysはQ3(22年5月-7月)において以下のような発表を行なっている。
・NTT Application Security社を買収完了
Synopsysは、2022年度Q4(8月-10月)の売上を12億6300万-9300万ドル、2022会計年度の売上を50億ドル以上と予測している。
2022.08.05
チップ間光インターコネクトを手掛ける米Avicenaが2500万ドルを調達
2022年8月2日、光インターコネクトを手掛ける米Avicenaは2500万ドルの資金調達に成功したことを発表した。
Avicenaは「LightBundle」と呼ぶ独自開発した光インターコネクトを提供するシリコンバレーのベンチャー企業で設立は2019年、microLEDをベースとした「CROME(Cavity-Reinforced Optical Micro-Emitters)」と呼ぶ光エミッタによって、最大10Gb/sの速度で動作するチップ間光インターコネクトを実現している。同光インターコネクト、大規模なアレイを形成しICを非常に高密度かつ低消費電力で光学的に接続できるため、HPCや高解像度カメラセンサーなどのアプリケーションで劇的なパフォーマンス改善が可能だという。
発表によると今回Avicenaは初の資金調達Aラウンドで2500万ドルの調達に成功。Samsung Catalyst Fund、Cerberus Capital Management、Clear Ventures、Micron Venturesが投資を行った。
2022.08.05
2022年8月2日、韓国の新興IPベンダOPENEDGES Technologyは韓国の証券市場KOSDAQへの上場審査をパスしたことを発表した。設立から僅か5年の同社は8月20日に新規株式公開 (IPO)を行う予定だ。
OPENEDGES Technologyは、メモリサブシステムIPやエッジAI向けのNPU(ニューラルプロセッシングユニット)を手掛けるIPベンダで、それらソリューションを組み合わせることで高効率なエッジAIコンピューティングを実現している。実績としてはワールドワイドで30社以上のライセンシー持ち、投資家から約4,000万ドルの資金を集めている。
日本国内ではグラフィックスIPコアなどを手掛ける株式会社TAKUMIがOPENEDGES Technologyの代理店として製品を供給している。
2022.08.05
2022年8月2日、チップレット向けインターコネクト規格「Universal Chiplet Interconnect Express(UCIe)」の標準化推進団体UCIe Consortiumが団体設立と新たなボードメンバー2社の参画を発表した。
今回新たにボードメンバーとしてUCIe Consortiumに参画したのはAlibabaとNVIDIAの2社。今年6月時点の設立メンバーである ASE, AMD, Arm, Google, Intel, Meta, Microsoft, Qualcomm, Samsung, TSMCに加えてボードメンバーは計12社となった。
UCIe Consortiumは既に「UCIe 1.0」仕様を公開しており仕様書はダウンロード可能。中身的にはPCIeとCXLの2つのインターコネクト規格がベースになっているという。
なお、ボードメンバー以外の同コンソーシアムへの加盟企業は既に60社を超えているということだ。
2022.08.04
022年8月2日、米SIA(Semiconductor Industry Association)は、2022 Robert N. Noyce Awardの受賞者を発表した。
Robert N. Noyce Award(ノイス賞)は半導体業界最高の栄誉と称されるSIAの賞で、半導体業界のパイオニアでありFairchild SemiconductorとIntelの共同創設者であるロバートN.ノイスにちなんで名付けられたもの。同賞は毎年半導体業界に顕著な貢献をしたリーダーに贈られている。
今年のノイス賞を受賞したのは、Cadenceの元CEOで現在エグゼクティブ・チェアマンのLip-Bu Tan氏。同氏はベンチャーキャピタルWalden Internationalの創設者兼会長でもある。
※画像はSIA Web上のデータ
Lip-Bu Tan氏の主な足跡は以下の通り。
シンガポールの南洋大学で学士号、マサチューセッツ工科大学で原子力工学の修士号、サンフランシスコ大学でMBAを取得。
Chappell & Co.の副社長、EDF Nuclear、ECHO Energyの管理職、Walden Catalyst Ventures創設時のマネージング・パートナーを経て1987年Walden Internationalを設立。
Walden Internationalを2001年までに設立時の2000万ドルから20億ドルに成長させる。
2004年2月Cadenceの取締役に就任。2009年から2017年まではCadenceのCEO兼社長、2017年から2021年まではCadencenのCEOを務め、2021年以降はCadenceのエグゼクティブ・チェアマン。
Lip-Bu Tan氏がCEOを務めた2009年から2021年の間に、Cadenceの売上は8億5100万ドルから29億8800万ドルまで成長した。
現在、The Business Councilのメンバー、Schneider Electric SE、Credo Technology Group Holding Ltd などの複数の企業の取締役を務めているほか、カーネギーメロン大学の理事会および工学部の学部長評議会のメンバー、カリフォルニア大学バークレー校の工学諮問委員会メンバー。
2016年GSA Morris Chang Exemplary Leadership Awardを受賞。
2022.08.04
2022年8月2日、EDAおよびハードウェア設計言語の標準化団体Accellera Systems Initiativeは、CDC(クロックドメインクロッシング)に関する新たな標準化を検討するProposed Working Group (PWG) の発足を発表した。
発表によると同PWGのキックオフは9月13日の予定で、既にArm、Cadence、Intel、Qualcomm、NVIDIA、NXP、STMicroelectronics、Siemensといった企業が関心を示しているという。同キックオフはAccelleraの会員でなくとも参加できる。
現在のところ、異なるCDC検証ツールから生成されたCDCに関する担保を相互運用することができないため、例えばSoC開発チームとIPプロバイダが異なるCDC検証ツールを利用していると、SoC開発チームはSoC検証環境で調達したIPについてのIPレベルのCDC検証結果を再利用することができないといった問題が生じている。このような障壁が無くなりCDCに関する担保を相互運用可能になれば業界エコシステムの利益となるため、その要件や技術的な可能性などをPWGで検討する。
2022.08.04
2022年6月の世界半導体市場は前年比13.3%増の508億2000万ドルで記録更新ストップ
2022年8月1日、米SIA(Semiconductor Industry Association)は、2022年6月の世界半導体売上(3ヶ月移動平均)を発表した。
SIAの報告によると2022年6月の世界半導体売上は、前年同月比13.3%増、前月比約1.9%減の508億2000万ドルだった。世界半導体売上の単月売上が前年同時期の実績を上回るのはこれで29ヶ月連続。2022年4月まで13ヶ月連続で単月売上が前年比20%以上増加していたが、5月は18%増、6月は13.3%増と成長率が緩やかに下りつつある。4月,5月と2ヶ月連続で単月売上記録を更新していたがこの6月は記録更新とはならならず、4月の売上を下回った。
四半期ごとの売上を見ると、2022年Q2(4-6月)の売上は1525億ドルで前年比13.3%増、Q1(1-3月)よりも僅かに0.5%多かった。
2022年6月の世界半導体売上を地域別にみると、先月に続いて北米市場の成長率が最も高いが、前年比29%増という数字は5月の36.9%増、4月の40.9%に比べると明らかに成長が鈍化してきている。その他市場の中では5月に続いて日本市場が最も成長率が高く前年比16.1%増だった。
日本市場の売上を円ベースで換算すると前月比約3%増、前年比約41%増の約5,485億円。日本市場の売上が前年同月比プラス成長となるのはこれで19か月連続。とくにここ数ヶ月は円安の影響で大幅な売上増が続いている。
2022.07.28
2022年7月27日、CadenceはSamsung FoundryによるFastSPICEの採用事例を発表した。
発表によるとSamsung Foundryは同社の3nm、4nm、5nmプロセスで開発される高速PLL、トランシーバー、SRAMデザインをはじめとするアナログおよびミックスシグナルIPの検証でCadenceのFastSPICE「Spectre FX Simulator」を採用。Samsung Foundryは同ツールにより最適な精度を保ちながら生産性を2倍向上することができたとして、「Spectre FX Simulator」を社内の設計フローに組み込んだという。
2022.07.27
2022年7月25日、Cadenceは、2022会計年度第2四半期(2022年4-6月)の売上を報告した。
Cadenceの2022年Q2売上は、前年比約17.8%増、前期Q1比約5%減の8億5800万ドル、営業利益は前年比約20%増の1億8700万ドルだった。(※GAAP基準による会計結果)このQ2実績は同社の予測を上回るもので同社の四半期売上記録として過去2番目の実績。Cadenceは2022年Q1で過去最高の9億200万ドルの売上を記録している。
Cadenceは2022年Q3の売上を8億6000万-8000万ドルと予測。2022年の年間売上を34億7000-35億1000万ドル程度と予測を上方修正している。
なおCacdenceはこのQ2売上報告と同時に、創薬などライフサイエンス分野向けの分子モデリングおよびシミュレーションソフトを手掛ける米OpenEye Scientific Software社を5億ドルで買収することを発表している。
プレスリリース
CacdenceはこのQ2(2022年4-6月)において以下のような発表を行っている。
2022.07.22
2022年7月22日、IC Insightsのレポート:
半導体業界の調査会社IC Insightsによると、2021年の半導体ベンダの研究開発費の総額は約805億ドルでそのうち約56%はアメリカに本社を置く企業によるものだった。 805億ドルという研究開発費は売上高の約13%に相当する。
この統計はウエハ・ファブを保有するIDM、ファブレス半導体ベンダ、半導体ファウンドリによる支出をまとめたもので、製造装置や材料サプライヤー、パッケージングやテストサービス・プロバイダーは含まれていない。
※画像はIC Insightsのデータ
興味深いのは10年前の2011年との比較で、米国企業は微増、アジア企業は大幅増、欧州企業は微減、日本企業は大幅減となっている。IC Insightsによると売上高に占める研究開発費の割合は地域別に差が出ており、2021年の米国企業の研究開発費の平均は売上のおよそ16.9%、アジア企業は約9.8%、欧州企業は約14.4%、日本企業は約11.5%となっている。
なお、台湾に拠点を置く半導体ベンダの2021年の研究開発費は、全世界の研究開発費の14.4%で約117億ドル、韓国企業の研究開発費は11.9%で約99億ドル、中国企業の研究開発費は3.1%で約20億ドルだった。
2022.07.13
2022年6月27日、Synopsysは富士フイルムビジネスイノベーションによるソフトウェアの静的解析ツール「Coverity」の採用事例を発表した。
発表によると富士フイルムはデジタル複合機に搭載されるコントローラおよびUIのソフトウェア開発で「Coverity」を採用。それまで使用していた静的コード解析ツールでは、UIモジュールに用いられているJavaScriptの解析ができず、ソースコードの不具合の誤検知/過検知も多いことからSynopsysの「Coverity」に乗り換えた。
富士フイルムは「Coverity」の導入により、以前は見逃されていた不具合の検出が可能となり、誤検知/過検知の数が以前の約10分の1にまで大幅に削減できたとしている。
2022.07.13
2022年7月11日、Cadenceはデータセンター最適化ソリューションを手掛ける英Future Facilities社の買収を発表した。
Future Facilitiesは、電子機器の熱解析技術や数値流体力学(CFD)ベースの電子機器冷却シミュレーション技術などを用いてデータセンターの性能と冷却効率を最適化するソリューションを提供する企業で、データセンター向け3Dデジタルツインのパイオニア企業として知られている。
今回Future Facilitiesの買収により、Cadenceは熱解析ソリューション「Fidelity CFD」を補完するCFD技術を手に入れると同時に、データセンター向けの包括的な開発ソリューションを提供できるようになる。
今回の買収に関する取引条件などは公開されていない。
2022.07.12
2022年6月27日、SoC組み込み型のFPGAコアを手掛けるFlex Logix Technologiesと各種DSPを手掛けるCEVAは両社のコラボレーションについて発表した。
発表によるとイスラエルのHiperコンソーシアムのプロジェクトの一部として、Bar-Ilan UniversityのSoCLabが「SoC2」と呼ぶ16nm SoCを設計。同SoC2には2つの処理クラスタがあり、それぞれにCEVAのオーディオ処理用DSPの上位品「CEVA-X2」とFlex Logixの組み込みFPGA「EFLX」が搭載されている。
「FLEX」は「CEVA-X2」のDSP命令拡張インターフェイスに接続されており、同DSP命令拡張をプログラミングおよび実行するためのFPGAとして機能する。これにより「SoC2」はチップ製造後もいつでも変更可能なカスタムのハードワイヤード命令を使い、様々なワークロードに適応させることが可能。アプリケーションの変更にも柔軟に対応できるという。
更にFlex Logix Technologiesは別のコラボレーション事例として、Microsoftが主導する米国防総省のチップ開発プロジェクトRAMPについて発表した。
発表によるとRAMPで開発しているチップはセキュリティを重視したもので、同チップにFlex Logixの組み込みFPGAを採用することで再構成可能という柔軟性を持たせ、テープアウト後のアルゴリズム変更やプロトコル変更などに低コストで対応できるようになるとしている。
いずれの事例においても鍵となるのは組み込みFPGAの柔軟性で、Flex Logix Technologiesは、量産チップのメンテナンスやアップデートというニーズに向けて競合の少ない独自のソリューションを展開している。
2022.07.12
2022年6月27日、エッジAIプロセッサを手掛けるイスラエルのHailoは、ルネサスエレクトロニクスとの協業について発表した。
発表によると両社はニューラルネットワーク・アクセラレーション専用に設計された「Hailo-8」プロセッサと、ルネサスの車載向けSoC「R-Car V3H」および「R-Car V4H」を組み合わせて、セントラルECUとゾーンECUに対応するADAS/自動運転ソリューションを実現する計画。これらソリューションはレベル2+からレベル4のADAS/ADデザインに対応する柔軟性とコスト効率を実現し、60TOPSから170TOPSを超える業界最高性能のソリューションになるという。
ルネサスは自社内でもニューラルネットワークのアクセラレーション回路を開発しているが、サードパーティと連携してAI処理を自社のソリューションに取り込む動きも見せており、例えばルネサスUSAでは英BrainChipなどとも協業を進めている。
一方のHailoもワールドワイドで半導体ベンダとの協業を進めており、国内ではソシオネクストとも協業している。
2022.07.12
2022年6月21日、各種EDAツールおよびIPの販売を手掛けるネクストリームは、米Breker Verification Systemsの日本総代理店になったことを発表した。
Breker Verification Systemsは、テストケースの自動生成を基盤技術とした検証ツールを展開するEDAベンダで、SoC向けにセルフ・チェック用のCのテストケースを自動生成するツール「TrekSoC」、UVM向けのテストケースを自動生成する「TrekUVM」を提供している。同社の顧客には大規模SoCを手掛けるAMD, Broadcom, Qualcomm, NVIDIAといった大手ファブレス半導体ベンダが名を連ねている。
またBreker Verification Systemsは、テストケースの可搬性/再利用性を高めるAccelleraの標準規格PSS(Portable Test and Stimulus Standard)の発案者とも言える存在で、同規格の標準化に大きく貢献している。
ネクストリームは検証系のツールやIPも扱っており、新たなソリューションとして技術サポートも含めてBreker Verification Systemsのツールを販売していくという。
2022.07.06
2022年7月5日、米SIA(Semiconductor Industry Association)は、2022年4月の世界半導体売上(3ヶ月移動平均)を発表した。
SIAの報告によると2022年5月の世界半導体売上は、前年同月比18%増、前月比約1.8%増の512億2000万ドルで単月売上記録を2ヶ月連続で更新した。世界半導体売上の単月売上が前年同時期の実績を上回るのはこれで28ヶ月連続。2022年4月まで13ヶ月連続で単月売上が前年比20%以上増加していたが、この5月は18%増に留まった。
2022年5月の世界半導体売上を地域別にみると、先月に続いて北米市場の成長率が前年比36.9%増と突出した力強さを見せた。その他市場の中では日本市場が最も成長率が高く前年比19.8%増だった。
日本市場の売上を円ベースで換算すると前月比約6%増、前年比約41.4%増の約5,322億円。日本市場の売上が前年同月比プラス成長となるのはこれで18か月連続。とくにここ数ヶ月は円安の影響で大幅な売上増が続いている。
2022.07.05
2022年6月22日、Synopsysは、クラウドベースのアプリケーション・セキュリティ・テスト・ソリューションを手掛けるNTT Application Security社(旧WhiteHat Security社)の買収完了を発表した。
今回の買収はSynopsysのソフトウェア・インテグリティ・グループのソリューション強化を目的としたもので、SynopsysはNTT Application Security社のDAST(動的解析)テクノロジを手に入れることで、同社のアプリケーション・セキュリティ・テスト・ソリューションを更に強化できるとしている。
Synopsysはアプリケーション・セキュリティ・テストの分野でリーダーと呼ばれる地位にあり、以下のような複数手法のアプリケーション・セキュリティ・テストツールを取り揃えている。
SAST(Static Application Security Testing)
SCA(Software Composition Analysis)
IAST (Intereactive Application Security Testing)
DAST(Dynamic Application Security Testing)
今回買収したNTT Application Security社の強みであるDAST(動的解析)は、アプリケーションが実際に動作している状態でセキュリティ上の脆弱性を検出する手法となる。
なおSynopsysによるNTT Application Security社の買収額は3億3千万ドルで現金で支払われた。
2022.07.01
2022年6月29日、IC Insightsのレポート:
IC Insightsのレポートによると、2021年のマイクロプロセッサの総売上高は前年比13%増の1,032億ドルに達した。2022年は12%程度の成長を維持し過去最高の1,148億ドルに達すると予測している。マイクロプロセッサの平均販売価格は2021年に7%上昇、2022年は8%程度上昇、総出荷量は2021年に6%増加しており2022年は3%程度増加すると予測されている。
※画像はIC Insightsのデータ
2021年のマイクロプロセッサの売上Top5は2020年と変わらず、上からIntel, Apple, Qualcomm, AMD, MediaTekの順。Top5の売上合計額は前年比15%増の883億ドルで、全売上の86%を占めている。上位5社が売上に占める割合は2016年時点では82.1%だった。マイクロプロセッサ分野でもっとも高いシェアを占める首位Intelの売上は、前年比3%増の523億ドルで全売上の50.9%。Intelのシェアは年々下がってきており2016年時点では58.4%だった。成長率が最も高かったのは売上4位のAMDで前年比56%増となっている。
ランキング6位から10位は、Nvidia, Samsung, UNISOC, HiSilicon, NXPの順で同5社のマイクロプロセッサの合計売上額は44億ドルで市場シェアは4.3%となっている。
IC InsightsのMPUランキングは、コンピューターCPU、組み込みマイクロプロセッサー、および携帯電話アプリケーション・プロセッサーの売上に基づいており、AI/機械学習アクセラレーターやスタンドアロンGPUなどのコプロセッサーは含まれていない。またCPUコアが統合されたアプリケーション固有のSoCの多くもMPUランキングには含まれていない。
2022.06.30
2022年6月28日、米国のリーガルニュースサイトLAW STREETは、熊本大学の飯田全広教授が特許侵害でIntelを提訴したことを報じた。
記事によると飯田教授は2022年6月24日にIntelによる特定のプログラマブルロジックデバイスの製造および販売に関連して、米国特許第6,812,737号を侵害したとしてIntelを提訴した。原告は特許を侵害しているデバイスの売上高は、対応するIntel事業部門の2021年の売上19億3400万ドルの少なくとも80%を占めると主張している。
訴状によると、特許を侵害しているのはALM(アダプティブ・ロジック・モジュール)を採用したIntelのFPGAとSoCで、Intelが買収したAlteraが2004年からFPGA「StratixII」シリーズの製品でALMを使用し始め、IntelはAlteraを買収してからもALMを採用したStratix、Arria、Cycloneシリーズの製品の開発と販売を続けていた。また、Intelは少なくとも2018年2月に原告の弁護士がIntelに特許侵害の可能性に関する手紙を送った時から、'737特許と飯田教授の具体的な主張について知っていたということだ。
訴状には、特許の直接侵害および間接侵害、2つの救済請求が記載されており、飯田教授は特許をIntelにライセンスした場合に受け取ったであろうロイヤルティ以上の金銭的損害賠償を要求しているという。
2022.06.28
2022年5月31-6月2日の3日間、RISC-V Days Tokyo 2022 Springがオンラインで開催された。
過去最大級の開催となった同イベントには多数のスポンサー、大学、支援団体が集まり、RISC-V関連の各種セッションが30近く行われた。
今回はRISC-V Days Tokyo 2022 Springで行われたセッションから、独Codasip社のプレゼンを取り上げて紹介したいと思う。
■EDAツールベンダCodasip
今回のRISC-V Days Tokyo 2022 Springにも複数のRISC-Vベースのプロセッサ・コアを手掛けるIPベンダが参加していたが、RISC-Vブームと言える昨今、多数のIPベンダがRISC-Vベースの製品を開発し世に送り出している。有名どころではSiFive、Andes。老舗のIPベンダと言えるMIPSやImagination TechnologiesもRISC-V市場に参入。先日はMicrochipがRISC-VベースのSoC FPGA「PolarFire」の量産を発表するなど、RISC-V関連の話題には事欠かない状況が続いている。
そんな中、若干異色の存在として映るのがチェコを起源とするEDAベンダCodasipだ。同社は特定用途向けプロセッサの開発ツールを提供するEDAベンダとして2014年に創業した企業だが、2015年にはRISC-V Foundationにファウンディング・メンバーとして参画。同年すぐに同社最初のRISC-V IP製品をリリースしており、EDAベンダでありながらRISC-VベースのIPベンダという顔も持つ。
Codasipが出荷したRISC-V IPは既に20億個以上ということで、IPベンダとして立派な実績を残しているが、Codasip ジャパン・カントリー・マネージャーの明石氏によると、CodasipのソリューションとしてはEDAツール、プロセッサIPのほかに「カスタム・プロセッサ」があるという。
Codasipは、1シリーズから,3,5,7シリーズまで大きく4カテゴリ(パイプライン段数)のプロセッサIPを提供しており、ユーザーはそれを購入してそのまま製品に組み込むことが可能だが、Codasipの提供するもう一つのソリューションであるEDAツール「Codasip Studio」を使えば、既製のRISC-Vプロセッサをベースに独自の命令拡張などを行い、用途に最適なカスタム・プロセッサを実現することもできる。
市販のプロセッサはある一点のPPAを前提に作られているため、ユーザー独自の要件にぴったり合うものを見つけるのは難しいが、RISC-VのISAは元々カスタマイズ前提で設計されているので、カスタムできるのであれば自らの要件に基づいてアプリケーションに最適なPPAを実現するプロセッサを作った方がいい。そのためのソリューションを一通り持っているのがCodasipの強みだと明石氏は説明する。
■プロセッサの高位合成ツール「Codasip Studio」
「Codasip Studio」は、特定用途向けプロセッサの開発ツールとしてRISC-Vに限らず様々な命令セットのプロセッサを設計することができる。その設計にはCodasip独自のアーキテクチャ記述言語「Codal」を利用する。「Codal」で記述した高位のプロセッサ・モデルを「Codasip Studio」に入力すると、高位合成ツールのようにプロセッサのRTLモデルと検証環境が自動生成される。これをCodasipはHDK(Hardware Development Kit)と呼ぶ。プロセッサのSDKとしてはLLVMで実装されたコンパイラ、シミュレータ、プロファイラ、デバッガなどISAの探求に必要なツール一式が自動生成される。
一般的にプロセッサをカスタマイズ(命令拡張)しようとすると、追加した命令のモデル化やシミュレーションに始まり、コンパイラなど各種SDKを直して検証を繰り返す必要があり、時間的にも費用的にもコストのかかる作業が強いられるが、そこを丸っと自動化してくれるのが「Codasip Studio」でプロセッサのカスタマイズというチャレンジングな取り組みを非常に容易なものにしてくれるという。
※画像は全てCodasip提供のデータ
■RISC-Vプロセッサのカスタム事例
プレゼンでは「Codasip Studio」を使ったRISC-Vプロセッサのカスタム事例が幾つか紹介されたが、印象的だったのはMicorosemi社のオーディオ・エコライザーの開発事例。Microsemiは新機能を追加した新製品開発に向けて新しい製造プロセスの利用を検討。ローパワーかつ低コスト化の実現に向けて既存製品のCortex-M4からCodasipのRISC-Vコアを用いたカスタム・プロセッサの開発に挑戦した。
Microsemiはまず一番ミニマムな「L30コア/RV32I」から開発スタートしM拡張命令を追加。後から更にカスタムDSP命令も追加した。その結果同じL30コアを利用しながらスループットは56倍向上、カスタムDSP命令の効果でソフトのコードサイズを3分の1以下に圧縮できた。一方で面積は約2.5倍になったが、これはカスタムDSP命令によるメモリの増大によるものだった。
驚きなのはこの命令追加の探求に費やした時間で、明石氏によるとたったの数日で検討を完了。更に興味深いのは、当初プロセスの移行を検討していた同デザインは、新しいプロセスではなく一つ古いプロセスでも所望の性能が出せることが判明。結果的に新製品は古いプロセスで製造することになり、大きく開発費を抑えることができたという。
その他にもアナログ・コンピューティングを用いた推論チップのMythic社ほか、多数の企業がカスタム・プロセッサの開発を目的にCodasipのソリューションを採用。各社ともに既成のプロセッサIPでは実現できなかったことをCodasipのIPコアとツールで実現しているという話だ。
■SweRVコアとユニバーシティ・プログラム
なお後日明石氏にインタビューしたところ、RISC-V Days Tokyo 2022では聞けなかった話を聞くことができた。
まずWestern Digitalの「SweRVコア」の話。
Western Digitalはいち早く製品開発にRISC-Vを採用した企業として有名だが、自社開発したRISC-Vベースの「SweRVコア」をオープンソースで公開している。聞くところによるとCodasipはWestern Digitalとの契約に基づき、同「SweRVコア」のサポートパッケージを提供しているという。サポートパッケージは、「SweRVコア」の利用ニーズに対応するもので、オープンソース化できないEDAツールのスクリプトや「SweRVコア」向けのソフトウェア開発環境など、技術サポートも含めて一通りの開発環境をCodasipが用意しているという。これは業界におけるCodasipの立ち位置と同社の技術力がなせるサービスと言えるだろう。
もう一つはCodasipのユニバーシティ・プログラムの話。
明石氏によるとCodasipは元々アカデミックな研究から生まれた企業として、かなり本気でユニバーシティ・プログラムを構築しており、大学など研究者や学生を支援しているとの話。具体的には研究支援向けに同社の「Codasip Studio」の提供と技術サポートを行っているほか、大学で利用できるRISC-Vを題材とした教育用のカリキュラムを修士および学士向けに豊富に用意している。教育の現場から「プロセッサの最適化」を普及すべくユニバーシティ・プログラムに力を入れているということで、日本国内の大学にも門戸を開いているという話。興味ある方はCodasip社にお問い合わせ頂きたい。
2022.06.20
2022年6月16日、TSMCはサンタクララで開催した2022 TSMC Technology Symposiumで最新のプロセス・ロードマップを発表。この発表前後にEDA各社はTSMCの各種先端プロセスへの製品対応を発表した。
■Cadenceの対応
既にN3EおよびN4PプロセスのPDKと設計フローを提供しており、先行顧客が既に複数のテストチップのテープアウトを完了している
Cadenceの提供するTSMC N5プロセス向けの設計IPポートフォリオ:
112/56/25/10 Gbps Ethernet PHY/MAC、PCIe 6.0/5.0/4.0/3.1 PHY/コントローラ、40Gbps UltralinkTM D2D PHY、GDDR6、DDR5/4、LPDDR5/4xをサポートするPHY/コントローラなど
既にN6RFプロセスのPDKと設計フローを提供しており、先行顧客が開発を進行中
■Siemensの対応
■Synopsysの対応
なお現状チップ設計可能な最先端プロセスとなるN3Eは、2023の下半期から量産が始まる予定。
TSMCによるとN3Eは対N5比で18%高速、パワーは34%減、トランジスタ密度は1.6倍。
更に発表されたばかりのN2は、2025年から量産開始予定で、N3E比で15%高速、パワーは25?30%減、トランジスタ密度は1.1倍以上ということだ。
2022.06.17
2022年6月1日、Synopsysはデジタル設計向けの新たなデザイン最適化ソリューション「DesignDash」を発表した。
発表によると「DesignDash」は、マシンラーニングによるデータ解析テクノロジを応用してデザインの最適化を行うツールで、大きく3つの役割を果たす。
1.膨大な量のチップ設計データを解析し、設計に活用可能な新たな知見を抽出/明示する
2.設計中のデザインを解析し、デザインの制限や問題の根本原因を特定し、潜在的な解決策を提案する
3.チップ設計プロセスの可視性を向上させ、広範囲に渡るデザインのステータスをリアルタイムに提示する
Synopsysは「DesignDashは膨大なデジタル・デザイン・データの中に潜むポテンシャルを解き放つ」と表現しているが、「DesignDash」が提供してくれる上記全てのアウトプットは、チップ設計における様々な意思決定に役立つというよりも意思決定を大きく変えるもので、大袈裟に言えばチップ設計をこれまでとは異なる次元に引き上げるものと言える。Synopsysは発表の中で解析データを活用することの重要性を強調しているが、「DesignDash」を使うことでユーザーはより多くの情報に基づいて、より速く、より高性能・高品質なチップを設計できるようになる。
なおマシンラーニングを用いたソリューションとしては、Synopsysは既に「DSO.ai」と呼ぶデザインのPPAを最適化するためのツールを提供しているが、チップの設計フローにおいて「DesignDash」は「DSO.ai」を補完するツールとして、デザインを解析し最適化の余地がある領域を特定/ガイドする役回りとなる。Synopsysによると「DesignDash」は、Synopsysのデジタル設計ツール・ファミリーとネイティブに統合されており、各設計段階のデザイン・データをシームレスに補足できるという。
また「DesignDash」は、Synopsysの「Silicon Lifecycle Management Family」を構成する「SiliconDash」ソリューションを補完するソリューションでもあり、シリコン実現の前後でデータの連続性を確保することができ、設計段階からシリコン・ライフサイクルまでを完全に網羅した貴重なデータ解析の機会を最大限活用できるということだ。
昨今、チップ設計において劇的な変化をもたらす新技術・新手法といったものはあまり出てきていないが、マシンラーニング技術やクラウド・インフラの活用により、既存の技術や手法がよりインテリジェントに進化し、そしてよりスケーラブルに利用できるようになってきている。この流れは今後も当分続きそうで、マシンラーニングを応用した設計の最適化は、来月サンフランシスコで開催される
第59回Design Automation Conference(DAC)においても多数の発表、講演が予定されている。
2022.06.15
2022年6月10日、CadenceはAIを用いた設計ソリューション「Cadence Cerebrus Intelligent Chip Explorer」の顧客事例を発表した。
今回発表されたAI設計ツール「Cerebrus」の顧客成功事例はルネサス エレクトロニクスとMediaTekの2社のケース。
ルネサスでは先端プロセスノードのCPU設計におけるパフォーマンス向上(total negative slack)を75%改善、重要なMCU設計におけるリーク電流を低減など、既に「Cerebrus」を利用した複数の製品開発で成功を収めているとのこと。
MediaTelでは先端プロセスノードのSoCを設計において、あるSoCブロックでは「Cerebrus」のフロアプラン最適化機能によりダイ面積を5%縮小、消費電力を6%以上低減することに成功。様々なメリットと合わせて自社のCADフローへの統合が容易であるということで、MediaTekでは実製品開発フローに「Cerebrus」を導入したという。
なおCadenceは「Cerebrus」のAI機能を利用したシステム設計領域の解析・最適化ツール「Optimality Explorer」を発表している。
2022.06.15
2022年6月9日、CadenceはAIを用いた新たなソリューション「Cadence Optimality Intelligent System Explorer」を発表した。
「Optimality Explorer」は、システム設計領域でのマルチフィジックス解析および最適化を実現するAIベースの新技術で、既存のツールにプラグインして利用することで、システムレベルで改善すべき領域を自動的に識別することが可能。Cadenceによると「Optimality Explorer」は、昨年投入したデジタル設計向けのAI技術「Cerebrus」と同様のAI技術を活用しており、従来の手作業による設計に比べ平均10倍、一部の設計では最大100倍高速に設計の最適化を実現可能で既に画期的な成果を挙げているという。
この新技術「Optimality Explorer」が適用されるのは、3次元電磁界解析ツール「Clarity 3D Solver」と高速シグナル・インテグリティ/パワー・インテグリティ解析ツール「Sigrity X」で、「Optimality Explorer」により設計空間全体の探索が可能となり、最適ではない局所解に陥ることを回避し最適な電気的性能を迅速に決定することが可能になるという。
発表には「Optimality Explorer」の先行ユーザーとして、Ambarella、Baidu、MediaTek、Microsoftがいずれも「Clarity 3D Solver」での成功事例を紹介しているが、Microsoftの事例では回路基板のシミュレーションで「Optimality Explorer」と「Clarity 3D Solver」を利用。他の方法では達成できなかった斬新なデザインとメソドロジーを発見することができたとしている。
CadenceのAI技術は、膨大な選択肢の中から人手は見つけることが困難な最適な解を得ることを目的に開発されており、強化学習によってそれを実現している。今回発表した「Optimality Explorer」は、業界初となるAIを導入したマルチフィジックス・システム解析ソリューションということで、Cadenceのシステムレベル設計ソリューションにおいて強力な武器となりそうだ。
2022.06.15
2022年6月14日、ルネサス エレクトロニクスは、オープンソースのマイコンボードを手掛けるArduinoへの出資を発表した。
ルネサスはArduinoによる総額3200万ドルのシリーズBラウンド資金調達に1000万ドルを出資。この出資によりArduinoとの連携を強化し、Arduinoのマイコンボードへのルネサス製品の搭載を図っていくとしている。Arduinoはこの資金調達で企業向けの製品提供の拡大を狙うという。
2022.06.15
2022年6月14日、IC Insightsのレポート:
IC Insightsの調べによると、2021年のMCU売上は前年比27%増の202億ドルで過去最高を記録した。前年の2020年は新型コロナの影響で2%減、2019年は世界経済の低迷により7%減だった。2021年のMUC売上急増は2000年以来最高の成長率で、MCUの平均販売価格は2021年に12%上昇した。これは、1990年代半ば以来最高となる年間価格上昇率だという。2021年のMCUユニットの出荷台数は、生産への制約もあり前年比13%増の312億ユニットだった。
売上ランキングは首位NXP(18.8%)、2位Micorochip(17.8%)、3位Renesas(17%)、4位STMicroelectronics(16.7%)、5位Infineon(11.8%)の順でTop5の企業がMCU市場のシェアを82%保有しているとのこと。( )内の数字は市場シェア。この上位5社のランキングは2020年から変わっていないということだ。
2022.06.14
2022年6月7日、WSTS(WORLD SEMICONDUCTOR TRADE STATISTICS:世界半導体市場統計)は2022年春季半導体市場予測を発表した。
WSTSの発表によると、今年の世界半導体売上は前年比16.3%増の6,465億ドルで過去最高を更新する見通し。強い半導体需要は引き続き継続し2023年も前年比5.1%増の成長を見込んでいる。
売上の中心となるIC売上は前年比+18.2%増の市場規模5,473億ドルという予測。ICの製品別の成長率は、メモリ前年比+18.7%、ロジック+20.8%、マイクロプロセッサ/マイクロコントローラ+11.4%、アナログ+19.2%と全種別で前年比2ケタ増と予測されている。
市場別では、アメリカ+22.6%、ヨーロッパ+20.8%、日本+12.6%、アジア太平洋+13.9%と成長が予測されている。
日本市場の円ベースの売上は、2021年が前年比+23.4%、約4兆8,038億円であったのに対し、2022年は前年比+19.1%と成長が継続し約5兆7,206億円に達する予測。
2023年は+4.8%、市場規模約5兆9,942億円と予測されている。
2022.06.10
2022年6月9日、Microchip Technologyは、同社のRISC-VベースのSoC FPGA「PolarFire」を量産品認定したことを発表した。
今回量産品認定されたのは、PolarFire SoC FPGA 「MPFS250T」および「MPFS025T」の2品種で、いずれも設定変更可能なプロセッサとして高速FPGAファブリックとリアルタイム性に優れたRISC-Vコアをベースとしたプロセッサ・サブシステムが統合されている。使用されているRISC-Vコアは米SiFive社製のRV64IMACベースのE51コアx1とRV64GCベースのU54コアx4で、U54コアはアプリケーション処理用のコアとしてLinuxを実行可能。また同SoCにはリアルタイム・アプリケーションと同時にLinux OSを実行できる決定論的 AMP(非対称マルチプロセッシング) モード等の新機能を備えている。
※画像はMicorochip社Web上のデータ
Micorochipは、電力効率、セキュリティ、信頼性においてPolarFire SoC FPGAは他社製プロセッサよりも優れているとしており、その1Wあたりの電力効率は競合製品の2倍相当とのこと。電力効率と熱効率が高いため冷却ファンやヒートシンクのコストと実装に要する工数を除外でき、高集積、防衛グレード セキュリティ、高信頼性が求められるアプリケーションを実現できると主張している。また、RISC-V InternationalのCEO Calista Redmond氏は、「PolarFire SoC FPGAは、Linux対応マルチコアRISC-VベースSoCの評価プラットフォームとして優れている」とコメントを寄せている。
なおMicorochipはサードパーティーと共同開発した「Mi-V」と呼ぶRISC-V設計ツールを提供しており、「PolarFire SoC FPGA」を用いた開発をサポートしている。
2022.06.09
2022年6月9日、ルネサス エレクトロニクスは、組み込みAIソリューションを手掛ける米Reality Analytics社の買収を発表した。
Reality AIは2016年に設立された会社でその歴史は未だ浅いが、非画像領域のセンシングという競合の少ない分野で実績を残している。Reality AIによると、同社の技術のベースはもともと諜報機関や防衛機関における信号分析のために開発されたもので、主力製品のソフト開発環境「Reality AI Tools」は、非視覚センサから得られたデータを収集、解析し、軽量な学習モデルを生成することが可能。同社のホームページでは以下のような例が挙げられているが、様々な分野・用途においてEdge AIやTinyMLの採用を後押しする。
・生産設備の監視や異常検知
・ダクトの問題箇所の特定
・タイヤの磨耗状況のレポート(自動車)
・天候、地形、道路状況の検知(自動車)
・見通しのない環境下での緊急車両、自動車や歩行者の接近の検知(自動車:音によるセンシング)
・鉱山機械のトラブル予測
・メンテナンスの必要性の自己診断
ルネサスはReality AIの推論技術を自社の幅広いMCU/MPU製品群と組み合わせることで、IIoT(Industrial IoT)、民生、自動車向けなどの組み込みアプリケーションにおいて、エンドポイントで利用できる機械学習ベースのインテリジェントなソリューションの提供を狙う。
2022.06.09
2022年5月31日、台湾のAIチップベンチャーNEUCHIPSは同社初となるAIチップ「RecAccel N3000」を発表した。
発表によると「RecAccel N3000」は、Facebookがオープンソースで提供するDLRM(deep-learning recommendation model) の高速化に特化したASICでTSMC 7nmプロセスで製造されている。同チップにはデータセンターに求められるエネルギー効率を維持しながら、高い精度とハードウェア利用率を提供するために最適化された、ハードワイヤード・アクセラレータ、特許取得済みのクエリ・スケジューリング、包括的なソフトウェアスタックが含まれており、2022年の下半期にOpenComputePlatform準拠サーバー用のデュアルM.2モジュールおよび標準データセンターサーバー用のPCIeGen5カードに搭載する形で提供が開始される予定。その他の特徴は以下の通り。
・独自の8ビット係数の量子化(FP32の99.95%の精度)
・LPDDR5アクセスを50%削減し、帯域幅使用率を30%向上させる独自のキャッシュ設計
・DRAMトラフィックの最適化を備えた特許取得済みのエンジン
・複数のカードにわたって非常に高いスケーラビリティを提供する実証済みのソフトウェアスタック
・DLRM、WND、DCN、NCFなどの主要な推奨AIモデルのサポート
なおこのNEUCHIPSという会社は、TSMCの子会社で設計サービスを担っているGUCの共同創設者であり、台湾の国立清華大学の教授であるYoun-Long Lin博士がファウンダーでCEOを務めており、TSMCを中心とした台湾半導体クラスタと密接な繋がりを持っている。ぽっと出のAIチップベンチャーという訳では無さそうだ。
2022.06.08
2022年6月7日、IC Insightsのレポート:
IC Insightsの調べによると、2021年アナログICの売上トップは2020年と同じくTexas Instrumentsで、売上高141億ドル、市場シェア19%を獲得した。TIの2021年の半導体全体の売上は173億ドルでうち81%はアナログICの売上だった。
2021年アナログIC市場全体の売上高は739億ドルで、アナログICサプライヤ上位10社がその68%を占めた。
2位のAnalogDevicesは売上高が約94億ドルで市場シェア13%を獲得した。同社は2021年8月にMaximの買収を完了。2017年にはLinerTechnologyを買収しており、買収によって売上を拡大させている。同社のアナログIC売上高の内訳をみると、産業用(50%)、自動車用(21%)、通信用(15%)、コンスーマ用(14%)となっている。
3位のSkyworks Solutionsは売上高59億ドルで市場シェア8%を獲得、同社はトップ・アナログICサプライヤの中で最大となる売上高前年比49%増を達成した。Skyworksはハンドセットおよびスマートフォン向けの製品に強く、2021年の最大の顧客はAppleで売上の59%を占めていた。
なお同社は2021年7月にSilicon Laboratoriesのインフラおよび自動車事業を27億5000万ドルで買収しており、クルマやデータセンターといった新たなアプリケーション分野への製品拡大を加速させている。
2021年アナログICの売上トップ10にランキングされた日本企業は10位のルネサス エレクトロニクスのみで、売上高約11億ドルで市場シェアは1.5%だった。
2022.06.08
2022年6月6日、eeNewsEuropeの記事:
IntelがスペインのBarcelona Supercomputing Centreと協力して、RISC-Vベースの次世代のゼタスケールスーパーコンピューターを開発するためのラボをカタルーニャ工科大学内に設立した。同ラボでは研究員を300名程度集める予定で、インテルとスペイン政府は同ラボに今後10年間で4億ドルの資金を提供する。
2022.06.07
2022年6月6日、米SIA(Semiconductor Industry Association)は、2022年4月の世界半導体売上(3ヶ月移動平均)を発表した。
SIAの報告によると2022年4月の世界半導体売上は、前年同月比21.1%増、前月比約0.7%増の509億2000万ドルで単月売上としては過去最高だった。世界半導体売上の単月売上が前年同時期の実績を上回るのはこれで27ヶ月連続。単月売上が前年比で20%以上増加したのはこれで13か月連続となる。
2022年4月の世界半導体売上を地域別にみると、先月に続いて北米市場の成長率が前年比40.9%増と突出した力強さを見せた。日本市場を含むその他地域は全て20%以下の成長に留まった。
日本市場の売上を円ベースで換算すると前月比約8.4%増、前年比約37%増の約5,023億円。日本市場の売上が前年同月比プラス成長となるのはこれで17か月連続。
2022.06.07
2022年6月3日、金融向けAIアクセラレーターを手掛ける韓国のファブレス・ベンチャーRebellionsは、資金調達Aラウンドで4000万ドルを調達したことを発表した。
Rebellionsは2020年9月に元モルガンスタンレーのクオンツ開発者が設立したベンチャーで、既に「ION」と呼ぶ金融向けAIアクセラレータを開発しその市場投入に向けて準備を進めている。
今回のラウンドで同社に投資したのは韓国のベンチャーキャピタルなどで、Rebellionsは調達した資金を使い人員を倍増させ米国に拠点を構え、新製品となるデータセンター向けのアAIクセラレータ「ATOM」の量産を目指すとしている。
2022.06.03
2022年6月2日、株式会社エヌエスアイテクス、イーソル株式会社、株式会社OTSL、京都マイクロコンピュータ株式会社の4社は、NEDOの委託事業である「セキュアオープンアーキテクチャ向けコンパイラバックエンドおよび対応ランタイム環境の設計・開発」の研究成果を元にRISC-Vコア向けOS及び開発ツールの事業化を進めることを発表した。
発表によるとNEDOの委託事業は2020年7月からスタートし2022年度で終了の予定。その後2023年度から各社は以下の通りそれぞれRISC-Vコア向けOS及び開発ツールの事業化を進める。
エヌエスアイテクス:
NEDO事業にて組込みシステム向け並列プログラミング環境の研究開発を担当。RISC-Vの可変長ベクトル命令(RVV)に対応するOpenCL, SYCL処理系の評価を行っており、将来的に自社のRISC-VベースIPとこれらの並列プログラミング環境をバンドルして製品化する計画。
イーソル:
RISC-Vに最適化されたマルチコア対応の高性能RTE(OS)の設計・開発および自社並列化支援ツール「eMBP®」のRISC-V対応を担当。これらの拡張開発を継続し製品化する計画。
OTSL:
RISC-V、周辺デバイスに関わるハードウェアIPおよびRTEの研究・開発を担当。今後はRTEの一部のオープンソース化、ユーザコミュニティの形成とサポート、RISC-V、周辺IPなどの製品化を行う計画。
京都マイクロコンピュータ:
ベクトル化を含むRISC-V RVVに対応したC言語コンパイラ及びツールチェインの研究・開発を担当。共同研究各社のRTEとも連携しているコンパイラを含めた開発ツールを製品化する計画。
2022.06.03
2022年6月1日、Cadenceは検証IPの新製品15品種のリリースを発表した。
新製品の内容は以下の通り。Cadenceの検証IPには「Cadence TripleCheck」と呼ぶ技術が含まれており、包括的なカバレッジモデルにリンクされた仕様準拠の検証プラン、インターフェイス仕様への準拠を確認するためのテストスイート、システムVIPを提供する。拡張されたシステムレベルの検証IP(システムVIP)は、SoCレベルのテストライブラリ、パフォーマンス分析、データおよびキャッシュのコヒーレンシチェッカーを提供する。
産業向け検証IP:
MIPI I3C sm 1.1
MIPI CSI-2 4.0
eUSB2 1.2
自動車向け検証IP:
MIPI A-PHY sm 1.0
MIPI DSI-2 sm 2.0
フラッシュONFI5.0
CAN XL
ハイパースケールデータセンター向け検証IP:
CCIX 2.0
AMBACHIの最新バージョン
GDDRの最新バージョン
コンスーマおよびモバイル向け検証IP:
DisplayPort 2.1
イーサネット5G
LPDDR5x
USB4の最新バージョン
UFS 4.0
※日本ケイデンス・デザイン・システムズ社
2022.06.02
2022年5月31日、IPベンダImagination Technologiesは、アーリー・ステージの企業にIPを無償提供する「オープン・アクセス・プログラム」を発表した。
発表によるとImagination Technologiesの「オープン・アクセス・プログラム」は、アーリー・ステージ企業を対象に「PowerVR Series8XE」のGPU4種と「PowerVR Series3NX」のニューラル・ネットワーク・アクセラレータ3種をライセンス費用無しで無償提供する。このプログラムよりアーリー・ステージ企業は開発初期費用のリスクを減らし製品開発を行うことができる。開発した製品のロイヤリティは製品出荷後に支払う形となるため、成功した場合のみロイヤリティを支払えば良い形となるが、2年間の有償サポートおよびメンテナンス契約にサインすることがIP無償提供の条件となっている。ちなみにサポートおよびメンテナンス費用は年間135,000ドルということだ。
SoC製品の開発において初期費用となるIPのライセンス費用はばかにならないため、「オープン・アクセス・プログラム」はアーリー・ステージ企業にとってSoC設計への参入障壁を下げる仕組みとして機能するだろう。
2022.05.27
2022年5月17日、グラフィックスIPを手掛けるデジタルメディアプロフェッショナル(以下DMP)は、同社のエッジAIプロセッサ「ZIA™ DV720」がTVS REGZAに採用されたことを発表した。
TVS REGZA(旧東芝映像ソリューション)は、5/17に発表した同社テレビ製品の最上位モデルとなる4K有機ELレグザ「X9900Lシリーズ」の高画質映像処理エンジン「レグザエンジンZRα」にDMPの「ZIA™ DV720」を採用。同AIプロセッサによるリアルタイムでの高ビット精度の信号処理により、レグザ史上最高画質を実現しているという。
なおDMPはAIプロセッサの提供にあたり、高画質処理プロセッサとの協調動作のためのカスタマイズを行い、性能・電力・面積が最適になるようレグザに最適なハードウエア構成を実現すると同時に、レグザのシステムに合わせOS非依存なソフトウエア開発環境をカスタマイズして提供したという。
2022.05.27
2022年5月23日、SynopsysとAnalog Devicesは、車載/航空宇宙/工業向けなどのパワー・システム開発の効率化に向けた協業を発表した。
発表によるとAnalog DevicesはSynopsysのシステムレベル・シミュレーター「Saber」向けに自社のDC/DC ICならびにμModule®(マイクロモジュール)レギュレーターのモデル・ライブラリを提供。これらライブラリと「Saber」を用いることで、各分野向けのパワートレイン設計者は、高速/高精度なマルチドメイン・シミュレーションが可能となり開発効率を向上できるという。
様々な分野で開発するシステムが複雑化する中で、シミュレーション技術と同様にそのためのモデルの重要性が高まっている。顧客の囲い込みを狙い自社製品のシミュレーションモデルを積極的に供給するという動きは、特に車載システム開発の分野で活発化している。
2022.05.26
2022年5月24日、バーチャル・プロトタイピング・ソリューションを手掛ける英Imperasは、デンソーグループのIPベンダNSITEXEが検証環境「ImperasDV」を採用したことを発表した。
Imperasの検証環境「ImperasDV」はArm,MIPS,RISC-Vなど各種プロセッサ開発のための検証環境として提供されているもので、様々なプロセッサのシミュレーション用モデルを容易に構築し、仮想的な環境でシミュレーションすることができる。環境としては以前から提供されているが、ここ数年はRISC-Vの拡がりに乗る形でRISC-Vベース・プロセッサの検証環境としてプロモーションが進められている。
今回NSITEXEは、同社で開発している自動車アプリケーション向けの次世代64ビットRISC-Vベース・プロセッサの設計で「ImperasDV」を採用。同環境はRISC-Vプロセッサ検証用のオープン・スタンダード・インターフェイス「RVVI(RISC-V Verification Interface)」をサポートしており、ロックステップ方式の検証などにも役立てることができるという。
2022.05.20
2022年5月18日、Synopsysは、2022会計年度第2四半期(22年2-4月)の四半期決算を報告した。
発表によるとSynopsysの2022会計年度Q2の売上は、前年同時期比約25%増、前Q1比約0.7%増の12億7900万ドル、営業利益は前年比約51%増の2億9480万ドルだった。(※GAAP基準による会計結果)このQ2売上は同社の四半期売り上げとして過去最高の実績。Synopsysは2021年度Q3から4四半期連続で売上記録の更新を続けている。
SynopsysはQ2(22年2月-4月)において以下のような発表を行なっている。
・NTT Application Security社を買収
Synopsysは、2022年度Q3(5月-7月)の売上を12億1000万-4000万ドル、2022会計年度の売上を50億以上と予測を上方修正している。
2022.05.13
オーディオ処理技術の急速な進化に伴い、ワイヤレス・イヤホンから自動車に至るまで、あらゆる電子機器に高度なオーディオ処理が組み込まれるようになった現在、そのオーディオ処理開発に革新をもたらす存在として注目を集めるベンチャー企業がある。シリコンバレーを拠点にオーディオ・システムの開発プラットフォーム"Audio Weaver"を提供するDSP Conceptsという会社だ。
Paul Beckmann(CTO)とChin Beckmann(CEO)によって立ち上げられたDSP Conceptsは、今年1月にCシリーズのラウンドで2800万ドルの資金調達を実施。これまでの累計資金調達額は5500万ドルに達し、出資者にはSony Innovation Fund by IGV*、Subaru、Porsche Digital、BMW|Ventures、Arm、MediaTek Venturesなど大手企業が名を連ねている。
Innovation Growth Ventures Co. (IGVは、ソニーイノベーションファンドと大和証券が運営)
DSP Conceptsの技術を一言で表すと、「GUIによるオーディオ開発」であり、グラフィカルな環境での組込みオーディオ処理の開発を実現。あらかじめ用意されたオーディオIPモジュールを接続し、各種パラメータを設定するだけで、ユーザーはコードを書いたりコンパイラーを動かしたりすることなく、ターゲット・ハードウェアに最適化されたオーディオ処理ソフトウェアを開発することができる。
図1:Audio WeaverのGUI画面
このDSP Concepts独自の開発方式は、高度なオーディオ機能の開発・実装を大幅に効率化でき、従来の方式と比較して開発期間を最大で1/10程度まで短縮することが可能。また、システムアーキテクチャの柔軟性により、他のチップセットでオーディオ機能を再作成することも非常に容易だ。モジュール化されたプラットフォームは再利用性が高く、チーム開発やコラボレーションに適しているため、"Audio Weaver"は組込みオーディオ開発の新たな業界標準となっている。
"Audio Weaver"の代表的な採用例としては、ウェアラブルデバイスやIoTデバイスなどの小型電子機器への音声ユーザー・インターフェースや音声通信機能の実装、各種スマート・スピーカーやサウンドバーの開発、自動車用オーディオの開発などが挙げられる。
DSP Conceptsの顧客には、Bang & Olufsen、BMW、Brown、Facebook(Oculus)、Garmin、GoPro、LG、Mercedes-Benz、Panasonic、Porsche、Samsung、Sennheiser、Spotify、Teslaなどの一流ブランドや、世界的に有名な家電メーカー・自動車メーカーが名を連ねており、DSP Conceptsは、こうした顧客のニーズに応えるべく、さまざまなサービスを提供している。
"Audio Weaver"プラットフォームは、開発フレームワークが基本となっており、複雑なコードを一から書くことから開発者を解放。オーディオ開発者はフレームワークによって開発プロセスを合理化することで、より多くの時間をイノベーションに費やすことが可能となる。"Audio Weaver"は、GUI開発におけるQTや機械学習モデル開発におけるPyTorchのようなフレームワークとして、オーディオ開発の業界標準として利用されており、開発環境の強化に加え、対応するDSP、MCU、アプリケーションプロセッサの拡大にも注力している。
"Audio Weaver"は現在、Analog Device、Arm、Cadence(Tensilica)、CEVA、MediaTek、NXP、Qualcomm、Renesas、STMicroelectronics、TIといった主要半導体ベンダーのデバイスを幅広くサポートおり、これらのデバイスに対応したオーディオ処理をコードを書くことなく開発することが可能。また、開発したオーディオ処理をデバイス上で実行し、リアルタイムに解析・調整することも可能で、オーディオ・アプリケーションの開発において、アーキテクチャの検討段階から開発、デバッグ、チューニング、実装、無線アップデートまで、すべての段階を効率化できるという点が"Audio Weaver"の大きな特徴と言える。
DSP Conceptsは現在、ターゲットとするコンシューマー市場や自動車市場にワールドワイドで展開しており、家電メーカーや自動車メーカーが多い日本での営業活動を強化しているとのこと。来月6月15日(水)には、開発プラットフォーム"Audio Weaver"について日本語で説明するウェビナーを開催する予定だという。
【ウェビナー開催情報】
ウェビナー:世界で採用が進むオーディオ開発の業界標準"Audio Weaver"の全貌
6月15日(水)15:00-16:00 Zoomウェビナーで開催
※参加者から抽選で10名様にAmazonギフト券プレゼント
■ウェビナー内容
15:00-15:40 DSP Conceptsのソリューション(日本語)
・DSP Concepts 会社概要
・オーディオ開発プラットフォーム"Audio Weaver"とは?
・世界大手各社による採用事例
プレゼンター:DSP Concepts Masayuki Shirahama Japan/APAC Sales Manager
15:40-15:50 "Audio Weaver"デモ
15:50-16:00 質疑応答
DSP Conceptsのソリューションおよびウェビナーに関する問い合わせ先は以下の通り。
中上 一史
Country Manager and Head of Sales&Business Development, Japan
E-mail:gnakagami@dspconcepts.com
携帯:090-5785-4506
2022.05.13
2022年5月9日、Electronics Weekly.comの記事:
IPnest社が発行した2022年5月のDesign IPレポートによると、2021年世界市場における設計IPの売上高は前年比19.4%増加し54.5億ドルに到達した。
売上げランキング首位のArmは、売上が前年比16.7%増の約22億ドルで市場シェア40.4%
同2位のSynopsysは、売上前年比21.7%増の約10.8億ドルで市場シェア19.7%
同3位のCadenceは、売上前年比5.8%増の約3.2億ドルで市場シェア5.8%
以下、4位Imagination Technologies、5位SST、6位CEVA、7位VeriSilicon、8位Alphawave、9位eMemory Technology、10位Rambusと続く。
市場の平均成長率を上回る大きな成長を見せたSynopsysとAlphawaveは有線ネットワークIP分野の売上が成長を後押しした。
ArmとImagination Technologiesの優れたパフォーマンスは、スマートフォン業界の復活と成長ベクトルとしての自動車の出現を証明している。
2016-2021のIP市場の売上推移を見ると市場全体としては59.3%成長。上位3社はそれぞれ異なる成長を示しており、首位Armは売上が33.7%増加する一方で市場シェアは2016年の48.1%から2021年の40.4%に縮小した。2位のSynopsysは売上を140.9%増やし市場シェアも13.1%から19.7%に拡大した。3位のCadenceは売上が167.2%の成長、市場シェアは3.4%から5.8%に伸ばした。
平均成長率で見ると、2016-2021のIP市場全体は9.8%であるのに対し、Armは6%、Synopsysは19.2%、Cadenceは21.7%となっている。
IP市場の売上をライセンス収入とロイヤリティ収入で見ると、ライセンス収入ではSynopsysが市場シェア31.2%でトップ。2位Armはシェア25.6%、3位Cadenceは7.2%となっている。
Synopsysは、市場規模13億ドルの有線ネットワークIP分野でう55.6%のシェアを握っている。同分野におけるSynopsysは「ワンストップショップ」戦略を進めており、ほぼ全てのプロトコル(USB、PCIe、イーサネット、SATA、HDMI、MIPI、DDRメモリコントローラー)をサポートし、全てのプロトコルで市場シェアをリードしている。
ロイヤリティ収入ではArmがシェア60.8%とダントツの首位。SSTはフラッシュメモリのマイクロコントローラーの恩恵により復活、Imagination Technologiesもスマホに加えて自動車エンターテインメント、スマートTV、タブレットなど様々な分野におけるGPUプロバイダーとして復活を遂げた。
IPnestは設計IP市場の向こう5年間の平均成長率を15%、2026年には市場全体の売上が110億ドルに到達すると予測している。
2022.05.10
2022年4月29日、米SIA(Semiconductor Industry Association)は、2022年3月の世界半導体売上(3ヶ月移動平均)を発表した。
SIAの報告によると2022年3月の世界半導体売上は、前年同月比23%増、前月比約1.1%増の505億8000万ドルだった。世界半導体売上の単月売上が前年同時期の実績を上回るのはこれで26ヶ月連続。単月売上が前年比で20%以上増加したのはこれで12か月連続となる。
2022年3月の世界半導体売上を地域別にみると、先月に続いて北米市場の成長率が前年比40%増を超えており突出した力強さを見せている。欧州および日本市場も前年比20%を超える順調な伸びを示した。
日本市場の売上を円ベースで換算すると前月比約4.2%増、前年比約31.2%増の約4,633億円。日本市場の売上が前年同月比プラス成長となるのはこれで16か月連続。
2022.04.28
2022年4月25日、Cadenceは、2022会計年度第1四半期(2022年1-3月)の売上を報告した。
Cadenceの2022年Q1売上は、前年比約22.5%増、前期Q4比約16.6%増の9億200万ドル、営業利益は前年比約25.6%増の2億3500万ドルだった。(※GAAP基準による会計結果)このQ1実績は同社の予測を上回るもので同社の四半期売上記録として過去最高。Cadenceは2020年Q4から2021年Q4まで売上7億ドル超を維持していたが、このQ1で初めて売上9億ドルを突破した。
Cadenceは2022年Q2の売上を8億2500万-4500万ドルと予測。2022年の年間売上を33億9500-34億3500万ドル程度と予測を上方修正している。