SiFive、データセンター向け開発プラットフォーム「BigSky」を発表、RISC-Vサーバーの導入を後押し
2026年8月24日、RISC-VプロセッサIPの主要ベンダーである米SiFiveは、データセンター向け開発プラットフォーム「BigSky SF-2U870」を発表した。
発表によると「BigSky」は、SiFiveの高性能RISC-V CPU「P870-D」を搭載したラックマウント型2Uサーバーで、SiFiveは同製品を「世界初のエンタープライズ・グレードのラックマウント型2U RISC-Vサーバー」としている。
「BigSky」は、一般ユーザー向けの量産サーバーというより、ハイパースケーラーやSoCベンダ、ソフトウェアベンダなどがRISC-Vへのソフトウェア移植、ワークロードのチューニング、システム検証を行うための「Datacenter Development Platform」という位置付け。SiFiveは開催中のHot Chips 2026に合わせて実機を披露したが、すでにハイパースケーラー、ソフトウェアベンダ、大手SoCベンダなどの先行顧客にシステムが提供され、実際のワークロード評価が始まっているという。なおその需要は、「BigSky」の供給を上回っているという話だ。
32コアのP870-Dを搭載した2U RISC-Vサーバー
今回発表された「BigSky SF-2U870」の主な仕様は以下の通り。
- SiFive P870-D:32コア、2.0GHz
- 製造プロセス:TSMC N6(7nm)
- メモリ:256GB DDR5-5600
- PCI Express 5.0 x16×4、合計64レーン
- PCI Express 3.0 x4
- U.2 NVMe SSD:3.84TB
- 10/25Gb OCP 3.0 NIC
- x16のダブルワイドGPUを搭載可能
「BigSky」の中核となる「P870-D」は、SiFiveが2024年8月に発表したデータセンター向け64bit RISC-V CPU IP。6-wideのOut-of-Orderアーキテクチャを採用し、RISC-Vの最新プロファイル「RVA23」に準拠。SiFiveは「P870-D」について、2 SPECint2017/GHzを超える性能を掲げている。
CPUクラスタはAMBA CHIによるキャッシュ・コヒーレント・インタフェースをサポートし、最大64クラスタ、256 CPUコアまで拡張可能。IOMMU、仮想化、RAS、Debug/Trace、SiFiveのセキュリティ技術「WorldGuard」など、サーバーSoCに必要となるSystem IPも用意する。
Ubuntu、RHEL、CUDAもRISC-V上でそのまま動く
「BigSky」で特に重要なのは、CPUの性能以上にソフトウェア環境の整備が進んでいる点だ。「BigSky」はRVA23に完全準拠し、「Ubuntu 26.04 LTS」と「Red Hat Enterprise Linux 10(RHEL 10)」を標準サポートする。従来のRISC-V開発ボードでは、特定のカーネルやディストリビューションを用意したり、ハードウェア固有の対応が必要となるケースが少なくなかった。これに対して「BigSky」は、既存のエンタープライズLinux環境をそのまま利用して、データセンター向けソフトウェアのポーティングや検証を行える環境を目指している。
そして今回の発表で最も興味深いのがNVIDIAとの連携だ。SiFiveは2026年1月、NVIDIAの高速インターコネクト技術「NVLink Fusion」を将来のRISC-Vデータセンター向けプラットフォームに統合する計画を発表している。
「NVLink Fusion」を利用することで、SiFiveベースのRISC-V CPUとNVIDIA GPU/Acceleratorをキャッシュ・コヒーレントかつ高帯域で接続し、RISC-VをCPUとするAIサーバーを構築できるようにする計画だ。
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さらに今回SiFiveは、NVIDIAと共同で進めているCUDAのRISC-V ポーティングについても進展を明らかにした。すでに「BigSky」上でCUDAが動作しており、「BigSky」をGPUサーバーを制御するホスト側のサーバーとして利用し、NVIDIA GPU上のLLMワークロードを制御できるところまで来ているという。
Agentic AIの普及が進み、システムを制御するCPUの価値が高まりつつある中で、そこをRISC-Vのビジネスチャンスと見ているSiFiveにとって、Ubuntu、Linux、CUDAもRISC-V上でそのまま動く実機環境を用意できたことは非常に大きな意味を持つだろう。
先日、中国StarFiveがサーバー向けRISC-V CPU IP「Dubhe-100」を発表したばかりだが、StarFiveが「CPU IPからサーバーCPUを開発する段階」に入ったのに対し、SiFiveはすでに「CPU IP→実シリコン→2Uサーバー→エンタープライズLinux→CUDA」というところまで到達している。
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CPUコアそのものの性能を単純比較することはできないものの、データセンター向けRISC-Vを実際に開発・評価できる環境まで持ってきたという意味では、現時点でSiFiveが市場を先行していると言えるだろう。
今回の「BigSky」が示しているのは、RISC-Vサーバーを巡る競争が「高性能CPU IPを作れるか」という段階から、「そのCPUで実際のサーバーを作り、既存のソフトウェア・スタックやGPUをどこまで動かせるか」という段階へ移り始めたことだ。特に、Ubuntu、Linuxに加えてCUDAまで実機上で動かしている点は、RISC-Vが研究・評価用途から実際のAI/データセンター・インフラへ近づいていることを象徴している。





