オープンソース・エッジAIプラットフォームの新興AinekkoがEsperantoの知的財産を買収してオープンソースで公開
2025年11月19日、オープンソースのエッジAIプラットフォームを手掛ける米Ainekkoは、Esperanto Technologiesの知的財産を買収したことを発表した。
Ainekkoは2023年設立のスタートアップで本拠地はサンプランシスコ。社員は推定10名以下で創設者のTanya Dadasheva氏、Roman Shaposhnik氏、Tony Kiehn氏はいずれも起業家で相当な資金力があるようだ。
同社はオープンソースをベースとしたAIインフラの構築をミッションとして掲げており、現在の高価で閉鎖的なAIインフラの民主化を目指している。具体的な取り組みとしては、同社が立ち上げた「 AIFoundry 」というイニシアティブを通じてエッジAI向けのソフトウェアおよびハードウェア・スタックをオープンソースで提供しており、新たなオープンソースAIエコシステムとコミュニティの構築を進めている。
Esperanto Technologiesは、RISC-Vベースのデータセンター向けプロセッサ・ベンダとして業界で注目される存在だったが、今年の夏頃から業績不振による事業縮小が噂されていた。
発表によるとAinekkoは、Esperanto Technologiesのチップ設計、ソフトウェア・ツール、開発フレームワークを含むすべての知的財産と厳選された資産を買収。「 AIFoundry 」を通じてエッジ推論向けに最適化された独自のAIハードウェアを誰もが実験、カスタマイズ、構築できるように、RTL、リファレンスデザイン、開発ツールを含む、プロダクション・グレードのメニーコアRISC-Vアーキテクチャをオープンソースで公開するという。
Esperantoが開発した「ET-SoC-1」チップは、1,000以上のコアを持つ非常にエネルギー効率の高いRISC-Vプロセッサで、この技術をRTLや開発ツールを含めてオープンソース化することは、極めて高性能な検証済みシリコンIPをコミュニティに提供することを意味している。ただし、Ainekkoはそのまま「ET-SoC-1」チップを公開する訳ではなく、エッジAI推論に焦点をあて小型のRISC-Vコアをオープンソース化していくようで、この動きはGoogleのオープンソースIP「Coral NPU」にも重なるものと言える。
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Ainekkoは発表において「Linuxがサーバーで、Kubernetesがクラウドで実現したことを、オープンハードウェアがAI推論で実現できる」とコメントしており、AIインフラの民主化に向けた強い意思を示している。Ainekkoの共同創業者の一人Tanya Dadasheva氏は社会活動家的な側面を持つ事業家であるため、民主化活動とビジネスを今後どのように進めていくのか注目していきたい。




