Google、ウェアラブル/IoTの常時稼働AI向け「Coral NPU」をオープンソースとして発表
025年10月15日、Googleは超低消費電力の常時稼働AIを狙うフルスタックのエッジAIプラットフォーム「Coral NPU」を発表した。
「Coral NPU」は、RISC-V準拠のNPU IP(ハードウェアIP)と、IREE/MLIR/TFLM等に跨る統合コンパイラ/ランタイムを一体で提供するフルスタックのオープンソース・プラットフォームで、Google ResearchとGoogle DeepMindが共同開発したもの。
「Coral NPU」のターゲットは、ウェアラブル・デバイスやIoTなど超低消費電力で常時稼働するエッジ AI・アプリケーションで、AI向けに最適化されたNPUアーキテクチャにより高性能/低消費電力を実現。包括的なソフトウェア・ツールチェーンが用意されており、ターゲットを選ばない容易なMLモデルの開発と実装を可能とする。

「Coral NPU」のコンパイラ・ツールチェーン:GoogleのWebページより引用
4ウェイ・スーパースカラー 32ビットRISC-V CPUとして構成される「NPU IP」は、スカラー・コア(RISC-V)、ベクトル実行ユニット(RVV v1.0準拠SIMDコプロセッサ)、行列実行ユニット(量子化外積MAC、年内公開予定)の3ブロックで構成されており、ベース設計で「数mWで512GOPS」の性能を実現。実装するSoCに合わせてカスタマイズすることもできる。また、セキュリティ面ではメモリ安全性と分離を設計段階から考慮しており、セキュリティ技術「CHERI」のサポートも予定されているという。

「Coral NPU」のイメージ:GoogleのWebページより引用
Googleが狙うのは「Coral NPU」のオープンソース化によるエッジAI開発の共通のエコシステムの確立と普及の加速で、そのためにRISC-Vを採用しソフトウェア・スタックの断片化の軽減を目指している。現状、開発するMLモデル、ターゲットとするデバイスごとに異なる独自ツールに縛られてしまうという状況があるため、ウェアラブル/IoT向けに低電力NPUを迅速に活用したいというニーズに対して「Coral NPU」は魅力的なソリューションになるだろう。実際に米Synaptics社が「Coral NPU」を用いたIoTプロセッサを既に製品化しているということで、Googleは実製品開発に使えるソリューションとして「Coral NPU」をアピールしている。




