Codasipがエッジ向けの低消費電力RISC-Vコアの新製品を発表、プロセッサ自動設計環境も大きく進化

2024年6月4日、RISC-Vプロセッサを手がけるCodasipはRISC-Vコアの新製品「Codasip L110」とプロセッサ設計自動化ツール「Codasip Studio Fusion」を発表した。

プレスリリース

新製品「Codasip L110」は超低消費電力をうたう32bit RISC-Vコアで、ステートマシンの置き換え、センサー・コントローラ、IoTなど、小面積、低消費電力が求められる様々なエッジ用途での利用をターゲットとしている。

Codasipによると「Codasip L110」は、市場に供給されている同等のコアと比較してワットあたりの性能は最大50%優れており、コンパイル後のコードサイズは20%少ない。

コードサイズが少ないのはコードサイズ削減のためのRISC-VのZc拡張に対応してるためで、このZc拡張はそもそもCodasipの主導により標準化されているもの。Codasipはコードサイズの削減によりコア単体ではなくコアを含めたシステムの総コストを大幅に削減でき、合わせて消費電力と性能も向上できると主張している。(※詳しくはCodasipのブログ記事を参照

※画像はCodasip社Web上のデータ

なおCodasipの提供するRISC-Vコアは全てC言語ベースの独自プロセッサ記述言語「CodAL」でコーディングされているが、最近「CodAL」がバージョン2.0から3.0にアップデートされコード記述量が大きく削減されたとの話。新製品「Codasip L110」は「CodAL3.0」でコーディングされているようだ。

もう一つ今回「Codasip L110」と合わせて発表された「Codasip Studio Fusion」は、既存の「Codasip Studio」の後継となる進化版のプロセッサ設計自動化ツールで、その目玉となるのが「Boundded Custom」と呼ぶ新たなカスタマイズ手法の導入だ。

これまでCodasipの提供するRISC-Vコアはカスタムせずそのまま使うか、カスタムするかの2択だったが、RISC-Vコアの基本部分を保全しつつ必要なカスタムを施すというのが「Boundded Custom」のコンセプトで、ユーザーはRISC-Vコアの基本部分に対するリスク無しでコアに新しい命令を拡張できる。

この「Boundded Custom」のメリットは検証工数の大幅な削減で、ユーザーはカスタムした部分だけを検証すればよく、そのための検証環境も「Codasip Studio Fusion」が用意してくれる。RISC-Vに限らずプロセッサをカスタムする際にはプロセッサ全体をしっかり検証する必要があるが、それを軽減するという意味で「Boundded Custom」は開発コストに対するインパクトも大きい。

新しい「Codasip Studio Fusion」は、「Codasip L110」および高性能64ビット・コア「A730」などで利用可能だという。

Codasip