QualcommがインターコネクトIPのArterisの技術と開発チームを獲得※追記修正あり
2013年10月31日、インターコネクトIPを手掛けるArterisは、ファブレス半導体最大手のQualcommが同社のインターコネクト技術ならびに元社員を獲得した事を発表した。
QualcommとArterisとの取引条件に関する詳細は明らかにされていないが、QualcommはArterisのインターコネクト技術を買収すると同時にArterisの開発エンジニアも獲得しており、フランスにあるArterisの開発チームのエンジニアは既にQualcommの従業員となっている状況。ArterisはインターコネクトIPの技術をQualcommに譲渡した後も、既存製品である「FlexNoC」および「FlexLLI」の新規ライセンス契約と既存ライセンス契約のサポートを継続し、既存顧客との契約上の義務やオペレーションに変更は無いとしている。
また
「FlexNoC」の今後の製品開発は、ArterisとQualcommの契約によりQualcommに移籍した開発チームによって継続され、Arterisはこれまでのロードマップ通りに新製品を市場投入していく予定。開発はQualcommという形となるが、Arterisは顧客との機密情報を守りつつ製品に対するユーザーの要求などをQualcommにフィードバックしていくという事で、スキームは変わるがArterisの従来の開発スタイルは維持される格好だ。Arterisの主力製品であるインターコネクトIP「FlexNoC」は、先端モバイルチップを中心にこの数年で急速にシェアを伸ばし、現在そのライセンシーは50社以上、200種近いチップに利用されている。約2年前に競合のSonicsにインターコネクトIPに関する技術の特許侵害で提訴されたが、その後ArterisはSonicsを逆提訴。両社の係争は未だ決着がつかぬままの状態となっている。
今回のQualcommによるArterisの技術資産の買収は、必ずしもArterisのインターコネクト技術を独占するものでは無いが、同技術を獲得することで、Qualcommはモバイル・チップを中心に同社SoCの優位性を更に高める事になるのは間違いないだろう。
= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2013.11.08
)