【49DAC】製品プラットフォームを刷新したAtrenta、6/20 NextOp社の買収を発表
第49回Design Automation Conferenceに出展していたAtrentaブースのレポート。
Atrentaのブースを訪れてまず目についたのは、新しくなった同社のロゴ。以前と違い旗艦製品「SpyGlass」のロゴを会社ロゴのように使用しており、そのロゴも新たなデザインに変更されていた。話によると、RTL解析ツール「SpyGlass」製品ファミリのプラットフォームの刷新に伴いロゴも一新したとの事で、「SpyGlass」を全面に押し出し更なる成長を目指す意気込みが感じられた。
その「SpyGlass」、今年5月にリリースされたバージョン4.7によって、これまで個々のポイント・ツールとして機能していた「SpyGlass」ファミリの各ツール群が統合された。これにより各ツールの連携利用が可能となり、例えば1プッシュでデザインに対する独自のルール・チェックやCDC,ERCといった解析結果をまとめてレポート出力する事が可能となった。Atrentaは、1ライセンスで全ての「SpyGlass」ファミリ製品を利用できるIPの品質認証キット「Atrenta IP Kit」を提供しているが、今回のプラットフォームの統合は、TSMCも採用したこの「Atrenta IP Kit」の開発の延長線上の対応と想像できる。
また、今回のバージョンアップでは、「SpyGlass Power」によるRTLパワー・リダクション機能や、「SpyGlass」の基本機能であるLint機能のランタイムなど、個々のツールの機能強化も図られている。49DACにおいては、「Fast Lint」と呼ぶ新たなLintメソドロジが発表され、従来比4-9倍の速さでLintチェックが可能とされていた。また、デモ・スイートでは、Ciscoによる「SpyGlass CDC」の事例、CiscoとIBMによる「SpyGlass Power」の事例、ST Microによる「GenSys Assembly」の事例が紹介されていた。ST Microの事例によると、通常1ヶ月は要するデザイン変更に伴うインプリメントの修正作業を「GenSys Assembly」を用いて僅か1日で完了した実績もあるという。
尚、Atrentaは、Qualcomm、ベルギーIMEC、AutoESLらと3D-IC向けのアーキテクチャ解析手法の開発に取り組んでいたが、AutoESLがXilinxに買収された現在も同研究開発は着々と進めていると聞いた。
■6/20 アサーション合成ツールを手掛けるNextOp社の買収を発表
2012年6月20日、Atrentaは、アサーション合成ツール「BugScope」を手掛けるNextOp社の買収を発表した。
買収条件などの詳細は明らかにされていないが、社長兼CEOのYunshan Zhu氏をはじめとするNextOp社のチームはAtrentaへ移る様子。Atrentaは同社初となる企業買収によって、シミュレーター、エミュレーター、フォーマル検証ツールと様々な検証ツールに繋がる「アサーション合成」という武器を手にする事になる。
NextOpは、2009年にDACに登場した新興EDAベンダでコア・メンバーは中国系。社長兼CEOのYunshan Zhu氏は元シノプシスAdvanced Technology Groupのメンバーだった。同社は2010年に製品「BugScope」をリリース以降、順調に顧客を開拓していた様子でNVIDIAやAlteraなど大手が「BugScope」を採用していた。NetxOpは今年の49DACにおいても展示ブースを構え多くの来場者を集めており、「BugScope」のライセンスは順調でカバレッジ品質を評価できる「Progress ReportT」機能がユーザーに受けていると話を聞いていた。
※画像は49DACでのNextOp社のブース
■7/19 第一回Atrenta Technology Forum開催
Atrentaは来月7月19日に「第一回Atrenta Technology Forum」を開催する。同セミナーでは49DACでの最新情報をはじめ、ディジタルメディアプロフェッショナル、日本システムウェア、ルネサスエレクトロニクス等、同社の日本ユーザーの事例が紹介される予定。
= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2012.06.21
)