【49DAC】Aldecのシミュレーターが1時間25ドルで使えるようになる

第49回Design Automation Conferenceに出展していたAldecブースのレポート。
Aldecの今年の話題は大きく2つ。
一つは現在米国においてβテストを開始している「Aldec Cloud」と呼ぶ新サービス。「Aldec Cloud」は、Amazon社の提供するクラウド環境を利用したサービスで、1時間単位US$25-でAldecの論理シミュレーター「Riviera-PRO」が使用できるというもの。1時間US$25-という料金にはAmazonのインフラ使用料も含まれており、現在のところ利用料の決済はAldecと直接やり取りする形だが、将来的にはクレジット決済の導入も計画されている。
「Aldec Cloud」はAldecのユーザーでなくても利用可能で、サービスを利用する際にはAldecの用意する所定のWebサイトにアクセスする。(Amazonの環境は意識しないで良い。)ユーザーは必要に応じて「Riviera-PRO」のライセンスを時間単位で利用可能で、例えば、1本のライセンスを100時間使用しても100本のライセンスを1時間使用しても料金は同一。大量のライセンスを集中的に使用するような大口顧客のニーズにも、必要なときに必要な分だけライセンスを利用したいという中小企業の小口ニーズにも対応可能だが、クラウド環境上で一気にシミュレーションを走らせ、シミュレーション結果をダウンロードしてデバッグは手元の環境で行うという使い方がAldecの想定。シミュレーションのJob履歴を管理するGUIやAldec独自のセキュリティ機能も用意されている。
話によると米国では既にβカスタマー15社が同サービスを利用中。間もなくワールド・ワイドでβテストを公開する計画で日本でも同サービスを利用可能になるとの事。日本では驚くほどの低価格でサービスが提供されるようで、試用者向けに最初の10時間は無料になる予定と聞いた。
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もう一つの話題は、検証メソドロジ「OS-VVM」。
「OS-VVM」はVHDLユーザーのためにAldecとSynthWorks社が開発したもので、VHDLユーザー向けに今年の1月からオープンソースで提供されている。SystemVerilogベースの検証メソドロジで利用されているファンクション・カバレッジやランダム検証といった手法をVHDLベースで実現すべく、「Coverage Package」、「Random Package」といった無償のパッケージが用意されており、VHDLユーザーも高度な検証環境を比較的容易に構築できるようになる。
今回のDACでは、初となる「OS-VVM」のユーザー会も開催され、多くのユーザーを集めた様子で、聞く所によると「OS-VVM」のダウンロード数は月200件のペース。日本でもワールドワイドでもRTL設計者全体の25%近くはVHDLユーザーであるとの話で、Aldecでは今後もユーザーのフィードバックを元にメソドロジのエンハンスを進めていく計画だという。
尚、この「OS-VVM」は、シミュレーターを選ばずに動作可能だが、VHDLのサポート範囲としては、VHDL 2002/VHDL 2008をサポートしているAldecのシミュレーターに分があるようだ。
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※画像はAldecブースのマスコット「AL」君。仕組みは秘密との事だが、人間が話しかけると応答するお利口なロボットだった。

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2012.06.20 )