【EDSF2011】Mentorブースで見た富士通セミのデモ-ソフト開発の仮想環境を提供
パシフィコ横浜で開催されたElectronic Design and Solution Fair 2011のレポート。
Mentor Graphicsのブースは、パートナー企業とのコラボレーション展示を絡めたテーマ別の展示で、シアターでは次々と10分おきに技術プレゼンが行われていた。
展示で目を引いたのは、組込みソフト開発のエリアで展示されていた富士通セミコンダクター社のデモ。パートナーとして参加していた同社は、上流デザインサービス「Cedar」のソリューションの一つとして組込みソフトウェア開発向けのESL環境を紹介していた。
富士通セミコンダクターの提案するESL環境は、Mentorの「Vista」をベースとしたもので、仮想システム上のマイコン・モデルはMentorの提供するISSを利用。顧客のニーズに応じてマイコン周辺部分のStstemC TLMモデルを富士通セミコンダクター側で作成してくれる。また、富士通セミコンダクター独自の手法で、MathWorksのSimulink環境とインタラクティブな接続が可能で、メカの動作などをESL環境側に取り込む事ができる。
実際に行われていたデモは、Mentorの「Vista」上でARM Cortex-M3モデル+SystemC TLM周辺の仮想ハードウェアを動かすというもので、ソフトウェアのデバッガとしてMentorの「EDGE」が接続されていた。富士通セミコンダクターが提案するこのESL環境は、ソフトウェア開発をメインのターゲットとしたTLM環境で、ソフト単体のシミュレーションであれば100MIPS近い速度を実現。ARM Cortex-M3を搭載した富士通のFM3マイコンの開発環境として顧客に提供される。
ハードウェアを仮想化するESLソリューションは、適用メリットの一方でその導入および環境構築には高い壁が存在しており、二の足を踏むユーザーがいるのは確か。そういった中で、半導体ベンダ側がESL環境を提供してくれるというサービスは、セットメーカーなどの顧客にとっては嬉しいはずで安心感もある。
富士通セミコンダクターがイージーオーダー環境とも呼べるこのESL環境のベースにMentorの「Vista」を選択したのは、プロセッサ・モデルの販売に固執しないMentorのスタンスと、用途に応じて容易なモデルの切り替えが可能な「Vista」のSystemC TLMモデリング能力が有ったからだと思われる。
= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2011.02.02
)