【#47DAC】Mentorの新製品「Calibre xACT 3D」と「Calibre InRoute」に注目

第47回DAC(Design Automation Conference)に出展していたメンター・グラフィックスのブース・レポート。

メンターのブースでは、バックエンド系のソリューションとして、新製品となる寄生RC抽出ツール「Calibre xACT 3D」と配置配線およびレイアウト検証統合環境「Calibre InRoute」2品をアピール。

DAC直前の6/11に発表された「Calibre xACT 3D」は、メンターが新たに開発したレイアウトデータからのRC抽出ツール。製品名の「3D」とは、Field Solverを用いたMaxwell方程式での電磁界シミュレーションを指しており、文字通り「Calibre xACT 3D」にはField Solverが内蔵されている。

一般的にField Solverを用いたRC抽出ツールは、高精度ながら処理が非常に重く、用途が限られていたが、「Calibre xACT 3D」はその常識を覆すツールで、従来手法ではタイミング不一致の問題が顕著化する32/28nm以降のプロセスをターゲットに、Field Solverを用いた高速・高精度なRC抽出を実現。シミュレーション精度は誤差3%以内、従来製品よりも1ケタ高速な処理性能を有するという。高速化の秘密は内蔵するField Solverのエンジンによるところが大きく、同エンジンは買収したPextra社の開発した技術を利用。同エンジンはSTARCでも評価されお墨付きを得ていたが、既に台湾UMCでは「Calibre xACT 3D」をリファレンス・サインオフ抽出ツールの1つとして採用したという。

※下の画像はメンター・グラフィックス社の資料より 「Calibre xACT 3D」は精度と速さを両立

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47dac_mentor_02.jpgもう一つの「Calibre InRoute」は、今年の連休明けに発表された新製品で、メンターの配置配線ツール「Olympus-SoC」上で「Carible」が走るという両製品の統合環境。

これまでも「Olympus-SoC」と「Carible」は密接な連携によって、比較的シームレスなP&Rとレイアウト検証のフローを実現していたが、あくまでも別ツールとしての連携に留まっていた。今回発表された「Calibre InRoute」は、「Olympus-SoC」上に「Carible」が移植された新製品で、「Calibre InRoute」上にはプルダウン・メニューの一つとしてDRCチェック機能が備えられており、DRCルールを予め読み込んでおく事で、P&Rを進めながらその場でDRCを実行する事が可能。余計なデータのハンドリングを一切省いた形で単一環境の中でP&RとDRCを同時実行でき、レアなエラーを見つけ次第すぐに自動ECOを行い、エラーの一発修正を実現する。

※下の画像はメンター・グラフィックス社の資料より 「Calibre InRoute」のイメージ図

47dac_mentor_03.jpgメンターは、既に「Calibre」製品ファミリを中心に半導体ファウンドリ大手のTSMCと密接なパートナー関係を築き上げており、TSMC最新のAMSリファレンス・フロー1.0に対するサポートを表明しているが、その一方で今回のDACでは、GLOBALFOUNDRIESとのパートナーシップも発表。両社は28nm以下のプロセスをターゲットとした、Calibreベースの物理検証リファレンス・フローを共同開発しているという。

※メンター・グラフィックス社の上流設計ソリューションに関しては、別記事でレポートさせて頂きます。

メンター・グラフィックス・ジャパン株式会社

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2010.06.24 )