シノプシス、新型フィジカル検証ツール「IC Validator」を投入

2009年5月12日、シノプシスは、新たなフィジカル検証ツール「IC Validator」のリリースを発表した。

プレスリリース文

シノプシスの発表によると、「IC Validator」は同社既存のフィジカル検証ツール「Hercules」の後継となる、45nm以降のデザインをターゲットとしたフィジカル検証ツールで、新アルゴリズムの採用により、マルチスレッド式の高速処理、インクリメンタル検証、DRCエラーの自動デバッグ・修正、タイミングドリブンの自動メタルフィル挿入など、これまでの「Hercules」には無かった数々の新機能を搭載している。

最大の特徴は、配置配線ツール「IC Compiler」とのシームレスな連携により、設計を進めながらインクリメンタルなレイアウト検証を実行できる点で、設計と検証を交互に繰り返す従来手法と違い、閉じられた一つの設計フローの中で効率よく品質の高いデザインが可能。当然ながら最終的なサインオフ検証に対する高品質な検証能力も備えている。

icv_synopsys01.gifまた、検証パフォーマンスについても絶対的な自信を持っており、マルチスレッド技術によりCPU数に応じてリニアに検証速度を向上可能。これまで数時間かかっていた処理を数分で実行可能で、多くの顧客事例において競合製品を上回るパフォーマンスを示しているとの事。フィジカル検証に伴うセッティングも容易で、ランセット記述は独自言語により2?10分の1の記述量で済むという。

 

icv_synopsys02.gif発表で紹介されている先行顧客の事例によると、NVIDIAでは「IC Validator」を採用し25CPUのコンピューティング環境でフィジカル検証スピードを20倍向上。TSMC社は、28nmプロセス以降のDRC/LVS用EDAツールの認証プログラムにIC Validatorを適用するという。※NVIDIA採用発表

尚、「IC Validator」は既に出荷中で既存の「Hercules」ユーザーには無償提供という大盤振る舞い。「Hercules」と「IC Validator」のライセンスは統合されており、新規購入の場合でも45nm以上/以下で用途に応じて「Hercules」と「IC Validator」を使い分ける事が可能となっている。

これまでフィジカル検証ツールはメンターの「Calibre」シリーズの独壇場と化していたが、配置配線ツールとして勢力を伸ばしている「IC Compiler」と緊密に連携可能な「IC Validator」の登場は、次第に同分野の勢力図を変えることになるだろう。

日本シノプシス株式会社

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2009.05.12 )