テンシリカ、カスタム・プロセッサとは別に新たな標準プロセッサ・コア・ファミリーを発表>>コントローラ、CPU、DSPの計6品種
2006年2月20日、コンフィギュラブル・プロセッサ大手の米テンシリカは、新たな製品ラインナップ「ダイヤモンド・プロセッサ・コア・ファミリー」を発表した。
プレスリリース:http://www.tensilica.co.jp/html/press/Diamond_main-0220.html
「ダイヤモンド・プロセッサ・コア・ファミリー」は、RTLで提供される合成可能な標準プロセッサ・コアで、「Xtensa」をはじめとしたコンフィギュラブル・プロセッサの実績を基に、テンシリカが満を持して世に送り出す汎用コア。テンシリカはこの製品ファミリの投入によって、ARMを追随する構えを見せている。
発表された「ダイヤモンド・プロセッサ・コア・ファミリー」は、コントローラコア、CPUコア、DSPコア、各2品種の計6品種でその特徴は下記の通り。
■Diamond 108Mini:
小面積、超低消費電力のキャッシュレスRISCコントローラ。競合製品となるARM9以上のパフォーマンスをARM7以下の超低消費電力で実現する。
■Diamond 212GP:
DSP機能を備えたミッドレンジRISCコントローラ。競合製品となるARM9よりもパフォーマンスは50%UP、消費電力は50%以下を実現する。
■Diamond 232L:
Linux対応MMUを搭載するミッドレンジCPUコア。Linuxをサポートするプロセッサとしては市場で最も低消費電力。強力なDSP命令セットもサポートし、競合のARM926に対しパフォーマンス、面積、消費電力、全ての面で上回る。
■Diamond 570T:
3命令同時発行可能なVLIWアーキテクチャ採用のハイパフォーマンスCPUコア。ユーザ・モードを変更することなく、16、24、64ビット命令を自動的に切り替える事ができる。超高性能ながら、競合のARM11と比較して面積は半分以下、同等のパフォーマンスを5分の1の消費電力で実現する。
■Diamond 330HiFi:
Xtensa HiFiオーディオ・エンジンをベースとした低消費電力の24ビット・オーディオDSPコア。業界標準のオーディオ・コーディング形式全てに対応。動作周波数と消費電力を低く抑え、高いエネルギー効率を実現する。
■Diamond 545CK:
ライセンス可能なDSPコアの中で最も高性能なDSPコア。3命令同時発行可能で、モードレス・スカラー命令とVLIW命令の混在が可能。ベースバンド通信向けのアクセラレータも備える。
これらの各コアは、テンシリカからの直接提供以外に、NECエレクトロニクス・アメリカなどのASICベンダからASIC IPとして提供されるほか、台湾Global Unichip、中国SMICなどからハード・コアとしても提供され、ユーザにとっては従来製品よりも使いやすく買い易い製品となる。
テンシリカは、既存のコンフィギュラブル・プロセッサは、従来通り専用プロセッサを必要とする先進のハイエンド・アプリケーションのユーザ向けに提供し、今回発表した「ダイヤモンド・プロセッサ・コア・ファミリー」は、ARMやMIPSに代わる汎用コアとして、コストや設計TAT、生産性を重要視する顧客に向けて提供するという形で、大きく2本立ての製品ラインナップによって、2006年第4四半期までにコアの出荷数でARMに次ぐ世界第二位の座を獲得する見通しだという。
尚、「ダイヤモンド・プロセッサ・コア・ファミリー」は、高性能でありながら提供される価格は競合製品を大きく下回り、コントローラ・コア「Diamond 108Mini」の場合、シングル・ライセンスが75000米ドルから(同等のARM製品の約3分の1程度)という価格設定となっている。
※その他の「ダイヤモンド・プロセッサ・コア・ファミリー」の価格および製品に関する詳細は、テンシリカ株式会社にお問い合わせ下さい。
http://www.tensilica.co.jp/
= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2006.02.20
)