ケイデンス、新たなデジタル設計プラットフォーム開発を目指す「Torino」プロジェクトを日本初公開>>pre-RTLの段階からデザインを最適化

2006年11月15日、ケイデンスは、横浜市内のホテルでユーザーミーティング「CDNLive! Japan2006」を開催。250名以上の参加者集まった。

今年で7回目(CDNLive!としては2回目)となるユーザーミーティングは、昨年同様、午前中はケイデンスの企画によるセッション及び講演、午後はケイデンスのユーザーで構成されるアドバイザ委員の企画による分科会というプログラムで進行。分科会は、検証関連の「SFV分科会」、インプリメンテーション関連のSP&R分科会」、そして「アナログ・フルカスタム分科会」の3つに分かれて進められ、計14のテーマ・
事例をもとにユーザ同士の意見交流が行われた。

午前中のセッションでは、米国ケイデンスの社長兼CEO Michael j.Fister氏が「LSI設計の差別化を実現するEDA技術の進化」と題した講演を行い、その中で新たなデジタルIC設計プラットフォームの開発ロードマップ「Torino」プロジェクトを明らかにした。

Michael j.Fister氏およびEric Filseth氏(米国ケイデンスCorporate Vice President)の説明によると、「Torino」プロジェクトは、Pre-RTL(仕様レベル)の段階からインプリメンテーション、Power、製造性を考慮し、最適な回路アーキテクチャを探求するための新たな設計プラットフォームの構築を目指すもので、既存のインプリメンテーション技術やDFM/DFY技術の更なる強化に加え、仕様と既存のRTLtoGDS-IIフローを繋げる事が一つのポイントとなっている。

この「Torino」プロジェクトの狙いは、仕様に応じたデザインの最適化をこれまでよりも抽象度の高いPre-RTL(仕様レベル)まで引き上げる事によって、回路の品質を高めると同時にチップの再利用性を向上させるというもので、消費電力の最適化に向けては、ケイデンスが中心となって標準化活動を進めている新たな低電力化のための仕様フォーマット「CPF」の活用が想定されている。

尚、ケイデンスによると、「Torino」プロジェクトの中核を担う次世代のインプリメンテーション環境「First Encounter GXL」は間もなくリリースされる予定。最新のバージョン6.1には、新たなアーキテクチャレベルの仮想プロトタイピング機能や、高速なタイミング収束を実現する新技術「CDTV」機能が搭載される予定で、更に2007年Q1には、ECO対策やSSTA(統計的タイミング解析)の追加も予定されているとの事。

詳細な部分は明らかにされていないが、ケイデンスでは、この「Torino」プロジェクトを65nm以下の複雑な大規模設計に対応していくための現実的な手段として推進。2007年度中に、統合された新たなデジタル設計プラットフォームの確立を目指しているという。

※「Torino」プロジェクト及びケイデンス社製品に関する詳細は、日本・ケイデンス・デザイン・システムズ社にお問い合わせください。
http://www.cadence.co.jp

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2006.11.17 )