【EDSFレポート】ケイデンスの各ツールがLowPower設計フォーマット「CPF」に早くも対応>>Incisiveによる機能検証も可能に

EDSF2007に出展していた、日本ケイデンス・デザイン・システムズ社のブースレポート。

今回ケイデンスの数ある出展製品の中で、最大の話題として来場者の関心を集めていたのは、ケイデンスの各種検証及びインプリメンテーションツールにおける「CPF」のサポート。

「CPF」は、ケイデンスを中心に参加企業22社を数える「Power Forward Initiative」が策定した、低消費電力設計指針を記述する新たなフォーマットで、昨年11月にバージョン1.0がリリースされた後に、その技術資産はEDA関連の標準化推進機関米Si2のLPC(Low Power Coalition)に寄贈され、現在Si2が継続して標準化活動を進めている。
※Si2:Silicon Integration Initiative

この「CPF」を用いる事で、設計者はパワードメインの定義、電源遮断モード、特殊セルの挿入方法など、LowPower設計に関する様々な設計指針を統一されたフォーマットで記述する事が可能となり、設計上のミスを無くし各種インプリメントツール間の不整合を解消する事が可能となる。

ケイデンスでは、今回この「CPF」を業界に先駆けて各種ツールで一斉にサポート。「Encounter RTL Compiler」、「SoC Encounter」といった論理合成以下のインプリメンテーションツールのほかに、論理シミュレータ「Incisive」や、RC抽出、タイミング解析、テスト関連ツールも「CPF」のバージョン1.0に対応し、RTL設計からサインオフ検証までをトータル的に自動化できるLowPewer設計フローを確立した。

これにより設計者は、RTLを変更する事無く、別ファイルとして「CPF」で記述した各種設計指針を用意すれば、特殊セルの挿入など論理合成以下の低消費電力化は、インプリメンテーションツールが自動的に処理。論理シミュレータ「Incisive」で特殊セルの挿入を想定したRTLシミュレーションも実行できるほか、CPFを利用する事で、様々な低消費電力アーキテクチャの探索も実現できる。

当然ながらこの「CPF」を記述するには、バックエンド設計に関する知識が必要となるため、当面は、RTL設計者とバックエンド設計者が協力して「CPF」を記述する形となるが、CPFを資産として蓄積し、それを設計に再利用する事も可能だという。

尚、今回ケイデンスの「CPF」サポートに当たっては、その実証プロジェクトに「Power Forward Initiative」メンバーのARM社が参加。実際に「CPF」を用いた設計を行い、統一フォーマット及びそれに対応したツールを用いる事による、工数の削減・設計ミスの排除といった設計上の効果を確認しているとの事。

※ケイデンス社製品の「CPF」サポートに関する詳細は、日本ケイデンス・デザイン・システムズ社にお問い合わせ下さい。
http://www.cadence.co.jp

※Power Forward Initiative
http://www.cadence.com/partners/power_forward/index.aspx

※Si2:
http://www.si2.org

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2007.01.29 )