シノプシス、SystemVerilogベースの検証ソリューションを拡大>>VMMメソドロジに3つの新機能を追加

2007年3月5日、シノプシスは、SystemVerilogベースの検証手法「VMMメソドロジ」を拡張する3つの新たなソリューションを発表した。

プレスリリース:http://www.synopsys.co.jp/pressrelease/2007/20070305.html
関連Q&A:http://www.synopsys.co.jp/pressrelease/2007/20070305qa.html

今回シノプシスが新たに開発したのは、「VMM Planner」、「VMM Application」、「VMM Automation」という3つのコンポーネントで、これらを利用する事で設計者は、VMM(Verification Methodology Manual)に基づいた機能検証の生産性を上げる事ができる。

「VMM Planner」は、これまで人手を中心に別プロセスで進められていた検証プランの作成やその管理作業をシステマティックに行う事ができるツールで、実行可能な検証プランをツールで作成できるほか、検証プランと実際の検証作業を連動させながら、順次検証結果をフィードバックさせ検証結果の予測性を高める事が可能。その場しのぎとなりがちな検証プランに一貫性を持たせ、明確な指標によって検証の進捗状況を把握することができるようになる。

「VMM Application」は、テストベンチの開発工数を削減するためのコンポーネントで、VMMで定義されている「VMM Standard Library」をベースとした言わばテストベンチ開発用の部品。大きく下記5種類のコンポーネントが用意されている。

◆Register Abstraction Layer:
レジスタの検証用のコンポーネント。自動テストパターン生成を迅速かつ容易に管理できる。

◆Hardware Abstraction Layer:
シミュレータ、アクセラレータ/エミュレータなど使用する検証環境向けのVMMテストベンチを作成するためのコンポーネント。

◆Memory Allocation Manager:メモリ・サブシステムの検証用コンポーネント。

◆Data Stream Scoreboard:
データストリームのセルフチェッキング用スコアボードを作成するためのコンポーネント。

◆Reusable Environment Composition:
ブロックレベルの検証環境をシステムレベル検証へ再利用するためのラッパー作成用コンポーネント。

「VMM Automation」は、検証用の自動化ツールや自動化のための機能の集合体で、構築した検証環境がVMMに則ったものかどうかその運用性をチェックする「VMM Checker」、VMMベースのテストベンチとSystemCベースのリファレンス・モデルを接続するインターフェイス「VMM- SystemC TLI」が既に用意されており、今後GUI作成用の機能やデバッグ用の機能も追加される予定となっている。

シノプシスによると、これら新たに用意された機能の全ては、論理シミュレータ「VCS」ならびにテストベンチ生成自動化ツール「Pioneer-NTB」の追加機能としてツールユーザーに無償提供される予定で、現在「VMM Automation」の一部機能以外は既にベータリリースされている。 

聞くところによると、ワールドワイドで約20社近くが今回発表されたVMM拡張機能の使用を開始しており、中には「VMM Application」の「Register Abstraction Layer」を用いただけで、従来手法よりも検証期間を約2ヶ月短縮できた(米Cypress Semiconductor社)という実例も出てきているという。

尚、日本国内においてもSystemVerilog及びVMMユーザは増加傾向にあり、シノプシスが定期開催していた「SystemVerilog」セミナー(内容的には殆どトレーニング)には、この1年間で1500人もの設計者が参加。単一の環境でSystemVerilogを用いた検証を実行できる点、VMMとの親和性など「VCS」の評判は上々だと聞いた。

※発表された新機能に関する詳細は、日本シノプシス株式会社にお問い合わせ下さい。
http://www.synopsys.co.jp

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2007.03.06 )