米Calypto社、業界初の手法でRTLのPower最適化を行う「PowerPro CG」を発表>>顧客設計データで最大60%の消費電力を削減

2007年3月26日、シーケンシャル等価性検証ツール「SLEC」を手掛ける、米Calypto Design Systems社は、RTLコードでPower最適化を行う新製品「PowerPro CG」を発表した。

プレスリリース:https://www.eda-express.com/edalibrary/files/1174948850.pdf

「PowerPro CG」は、これまで検証ツールを提供してきたCalypto社にとって新たな製品分野となる、RTLコードの最適化ツールで、独自のシーケンシャル・アナリシス技術を用いてRTLを自動的に最適化。面積・タイミングに影響を与える事無く消費電力を削減することができる。

「PowerPro CG」は、Calyptoがこれから展開していく、「PowerPro製品ファミリ」の第一弾としてリリースされた製品で、「CG」はクロックゲーティングの略。その名の通り、クロックゲーティングを駆使する事によってRTLのPower最適化を図る。

「PowerPro CG」のユニークな点は、組み合わせ回路のみを対象に、パターン解析によってクロックゲーティングに置き換えるという従来のアプローチに加え(これにも当然対応できる)、動作シーケンスを解析しクロックゲーティングによって動的に消費電力を削減できる箇所を特定するという点で、その解析結果に応じてコードを最適化することができる。(クロックゲーティングのために必要な回路を自動挿入する)

コードの最適化に当たっては、クロックゲーティングによって消費電力、回路面積、タイミングにどのような影響を及ぼすかを解析しトレードオフできるため、極端な面積の拡大やタイミングの不一致などを引き起こす心配は無く、最適化に制約を与えたりユーザが任意で最適化を指示する事も可能。設計者が手書きでクロックゲーティングを挿入したコードに対しても、「より多くの不要な演算をより長く止める」という目的に向かって更なる最適化を追求しに行く。

尚、Calyptoの発表によると、既に日本企業を含む早期顧客3社の実データを用いて「PowerPro CG」をベンチマーク。3Dグラフィック・エンジン、ネットワーク制御、プロセッサと3種類の設計データ(RTL)を「PowerPro CG」で最適化し論理合成したところ、人手による最適化を駆使していたプロセッサの設計データにおいても20%以上の消費電力削減を実現。グラフィック・エンジンでは最大61%の消費電力削減に成功し、最適化したデータの製品利用を求められたという。

カリプト・ジャパンの山本氏のコメント:
「PowerPro CGは、従来、設計者の手によって当たり前に行われてきていた最適化処理を自動化するツールで、最適化前後の結果を検証できるSLECが有るからこそ活用できる製品。」、「PowerPro CGは、消費電力の削減効果もさることながら、忘れられかけていた最適化技術を伝承するという意味でも大きな価値がある。」

※カリプト・デザイン・システムズでは、SLEC/PowerPro向けのFAEおよび営業スタッフを募集中。「PowerPro CG」に関する詳細および求人募集については、カリプト・デザイン・システムズ株式会社にお問い合わせ下さい。
http://www.calypto.com
TEL:045-470-2070

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2007.03.26 )