STARCフォーラム2007、STARCの活動報告に約500人が参加>>各分野で順調な成果、日本半導体の未来は明るい?

2007年7月6日、新横浜のホテルで今回が7回目の開催となる「STARCフォーラム 2007」が開催された。
関連ページ:http://www.starc.jp/event/forum/forum2007/index-j.html#program

今年のフォーラムは、「イノベーションで世界を目指すSTARCの新たな挑戦」というタイトルが付けられ、昨年度からスタートした「あすか?プロジェクト」における、STARCの活動状況とその成果に関する途中経過が報告された。

STARCの発表によると、STARCがあすか?プロジェクトで進めている活動は大きく下記4つで、その活動状況と成果は以下の通り。

1.共通利用可能な設計メソドロジの確立
「プロセスフレンドリー設計技術開発」と称した次世代DFMフロー「STARCAD-CEL」の構築や、高位設計、テスト&故障解析、ミックスドシグナル設計の各分野にフォーカスした技術調査と研究を実施。「STARCAD-CEL」は既に2006年10月(V0.5)、2007年4月(V1.0)と半年スパンでバージョンアップが進められており、この10月には低消費電力設計に対応するV1.5をリリースする予定となっている。

2.半導体IPの育成を目的とした90nmチップの試作サービスの運行
業界初のコンソーシアムによる試作サービスとして2005年10月から「スターシャトル」を開始。国内の研究ニーズに応え、VDEC(学界)を中心に顧客数は確実に増えており、「スターシャトル」を活用した研究論文の発表が急激に増加。大学で試作に携わった学生の業界への就職、すなわち人材育成の面でも着実に成果を上げている。

3.各種標準化活動
業界に広く普及している設計スタイルガイド「RTLスタイルガイド」に続いて、システムレベル設計における「TLモデリングガイド」の策定を進行中。既に完成している「IP機能検証ガイド」は、2007年度末に書籍として一般販売が開始される予定。また、広島大学との共同開発によって生まれた、次世代トランジスタモデル「HiSIM2」の実用化と国際的な標準化活動を継続して進めている。

4.産学連携の活性化と人材育成
大学との共同研究の活性化に向け、従来の一般応募型に加え「テーマインキュベーション型」の共同研究を開始し、共同研究は増加。また、大学での設計技術講座開講にも力を注いでおり、講座数の増加に伴い、2006年度には講義講座の修了者数が4594名、実習講座の受講者数は694名に達している。(累計数)

スタートしてから1年少々という短い時間ながら、あすか?におけるSTARCの活動は、以前にも増して加速している感があり、実際に「半導体業界の明日」に繋がる具体的な成果も出始めている状況。そのような背景もあってか、今回のSTARCフォーラムは会場全体の雰囲気も明るく、STARCメンバーに限らず今までに無い前向きな活気を感じた。

尚、フォーラムの最後には、九州大学客員教授の大津留先生をモデレータに迎えた「明日の半導体を語る?5?10年後の夢と期待?」というタイトルのパネルセッションが行われ、会場を大いに盛り上げた。リコー若林氏の「今後は顧客マターでなければ生きて行けない。」、日本ケイデンス広瀬氏の「半導体は過去の10年よりも今後の10年の方が成長する。EDAは全体的な設計の仕方を最適化していく必要が有る。」といったコメントが印象的。現役学生の生の声を基に「電機業界に若者の興味を向けるには?」と語った東工大益教授の話は、笑いの絶えない笑えない話しであった。

※STARC:株式会社半導体理工学研究センター
http://www.starc.jp

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2007.07.09 )