AI向け光インターコネクトのLumilensが累計9億ドル超を調達、評価額は55億ドルに

2026年8月6日、AIデータセンター向け光インターコネクトを開発する米Lumilensは、ステルスモードから脱し、7億ドル超の資金調達を発表した。

プレスリリース

Lumilensは2024年設立、米カリフォルニア州サンノゼに本拠を置く従業員約100人規模のスタートアップ。CEOのAnkur Singla氏はContrail SystemsやVolterraなどネットワーク技術に関連した企業を創業し、売却に成功した連続起業家。Lumilensには、CTOのTed Schmidt氏をはじめ、Juniper Networks、Marvell、Cisco、Meta、Lumentumなど光通信やネットワーク分野の経験者が集まっている。

発表によると、直近調達した7億ドル超を含めLumilensの累計調達額は9億ドルを超え、企業評価額は55億1,000万ドルに到達。これは、2024年設立のスタートアップとしては異例の規模と言えるが、更に驚くのは、同社はすでに大手ハイパースケーラー向けに光トランシーバの量産出荷を開始しており、顧客との契約規模は数十億ドルに上るという。

データセンターのボトルネック「GPU間接続」を狙う

Lumilensが狙うのは、AIデータセンターで急速に重要性を増している高速インターコネクト市場だ。大規模AIでは数百、数千のGPUを接続する必要があるが、高速化に伴い銅配線では伝送距離や消費電力が課題となる。このため、ラック間を接続するscale-outだけでなく、GPU同士を密結合するscale-upでも光通信の導入が進むとみられている。

Lumilensは、scale-out向けに800G、1.6Tなどのプラガブル光トランシーバを手がけるとともに、scale-up向けにはNear-Package Optics(NPO)とCo-Packaged Optics(CPO)を開発している。いずれのソリューションも「LumiCore」と呼ぶSilicon Photonics、Mixed-Signal IC、Electrical-Optical Interposer、光システム技術を統合した独自の共通プラットフォーム上で開発している。

競合との差は「量産」からscale-upへ入ること

AI向け光インターコネクトでは、Ayar LabsやLightmatterなどがすでに市場で注目を集めている。Ayar LabsはCPOを使った光I/O、LightmatterはPhotonic Interposerを中核として、GPUやAIアクセラレータ間のscale-up接続を狙っている。

これに対してLumilensは、すでに市場が立ち上がっているscale-out向けプラガブル光トランシーバで量産実績を作り、そのSilicon Photonicsや実装技術をNPO、CPOへ展開するという戦略をとる。つまり、scale-up向け光I/Oから市場に入る競合に対し、Lumilensは「scale-outで量産しながらscale-upへ進む」点が大きな違いと言える。

「製造技術」は競争力

Lumilensがもう一つ重視しているのが製造技術だ。Silicon Photonicsでは、光ファイバやレーザー、Photonic IC、電気ICの高精度な実装がコストと歩留まりを左右する。

Lumilensは独自のElectrical-Optical Interposer、製造プロセス、ロボットによる組み立て、自動テスト技術を開発しており、「Manufacturing is a product」と表現するほど量産技術を重視。量産を製品設計と同じレベルの課題として扱っている。実際にステルスモードながらすでに製品量産に成功している事実は、同社のこうした思想によるところが大きいのだろう。

まだ「LumiCore」の消費電力や帯域密度など詳細な性能は十分に公開されておらず、競合との技術的な優劣を判断するのは難しいが、設立から約2年ですでにハイパースケーラーのQualificationを通過し、製品出荷まで進んでいる点は注目に値する。

AIシステムの競争軸がGPU単体の演算性能から、数千、数万個のGPUをどう接続するかという「コネクティビティ」へ広がる中、プラガブル、NPO、CPOを一つの技術・製造基盤でカバーする新たな有力プレイヤーとして浮上してきたLumilensは、今後要注目の企業だ。

Lumilens

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2026.08.12 )