SiemensがSoCアセンブリ・ツールのDefacto Technologiesを買収、SoCのRTL統合・生成自動化を強化
2026年7月21日、Siemensは、SoCのRTL統合ツールを手がけるフランスのEDAベンダ、Defacto Technologiesを買収することを発表した。
Defacto Technologiesは、2003年に設立されたフランス・グルノーブル拠点のEDAベンダ。SoCのRTL設計、IP統合、構造検証などを自動化する「SoC Compiler」を主力製品としている。
「SoC Compiler」は、SoCを構成するIPやサブシステムを接続し、論理合成に投入できるトップレベルRTLと各種設計データを自動生成する、いわば「SoCアセンブリ・ツール」だ。
Defactoは買収発表直前の7月16日、インドのL&T Semiconductor Technologiesにおける導入事例を発表しているが、同社によると、従来は多くの手作業を必要としていた25万行以上のSoC RTLを、SoC Compilerを利用して5分未満で生成できるようになったという。

一般的なSoC開発では、複数の社内開発IPやサードパーティIPを組み合わせ、ポートやバスを接続するとともに、各IPのクロック、リセット、電源ドメイン、アドレス空間などを整合させる必要がある。大規模SoCでは、これらの作業を社内スクリプトや手作業に依存しているケースも多く、設計変更のたびにRTLや関連ファイルを修正しなければならない。
昨今、SoCは大規模化だけでなく、異なる特性を持つ機能ブロックを組み合わせたヘテロジニアス・アーキテクチャが一般化し、チップレットの活用も広がっている。その結果、SoCやシステムを構成するIP、サブシステム、ダイの数が増加し、それらを接続するインターコネクト、クロック、リセット、電源ドメイン、アドレス・マップも複雑化している。
Siemensは今回の買収により、SoCの組み立てとデザイン再構成、パワー・インテント管理を自動化するDefactoの技術を獲得し、複雑化するSoC統合の課題解決を目指す。
SiemensはDefactoの買収発表前日の7月20日に、米EDAスタートアップPrecision Innovationsの買収も発表している。Precision Innovationsは、AIを利用してSoCのフロアプランやアーキテクチャを早期に探索し、PPAのトレードオフを評価する技術を持つ。Precision Innovationsが「どのようなアーキテクチャや配置を選択すべきか」という設計探索を支援するのに対し、Defactoは、決定されたIP構成や接続情報を基にトップレベルRTLや関連データを生成し、実際の設計データへと具体化する役割を担う。両社の技術を既存製品と組み合わせることで、Siemensは以下のような一連の設計プロセスを構築できる可能性がある。
アーキテクチャ探索・チッププランニング→ IP構成と接続の決定→ トップレベルRTL、UPF、SDCなどの自動生成→ 機能検証→ 論理・物理実装→ DFTおよびサインオフ
今回のSiemensの連続買収から見えてくるのは、同社が個別のEDAツールを追加しているだけではなく、SoC設計の上流工程そのものを再構築しようとしていることだ。SiemensはFA分野などに強く、様々なシステム領域の開発ソリューションも保有しているため、それらがSoC上流設計工程の再構築に繋がってくると更に面白いことになりそうだ。

シーメンスEDAジャパン株式会社
= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2026.07.27
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