ソシオネクストがAIデータセンター向けカスタムSoC開発を獲りにいく

2026年7月1日、ソシオネクストは、TSMCの次世代プロセス「A14」を用いた高性能コンピュート・チップレットの開発を発表した。

プレスリリース(英文)

発表によるとソシオネクストは、AIハイパースケール・データセンターや高性能コンピューティング用のカスタムSoC開発を加速する計画で、その実現に向けて2026年9月にTSMC A14プロセスを使った高性能コンピュート・チップレットをテープアウトする予定。そのチップレットを使って、CPUおよびxPUアーキテクチャが、先端プロセス上でどこまで性能・電力効率・システム規模を拡張できるかを検証する。

TSMCのA14は、同社の2nm世代であるN2に続く1.4nmクラスのGAAプロセスで、N2比で同一電力時に10〜15%の速度向上、同一速度時に25〜30%の消費電力削減、20%超のロジック密度向上を見込む。AIデータセンターでは、演算密度と電力効率がシステム全体の競争力を左右するため、A14のような先端プロセスを早期に使いこなす設計力は、カスタムAIチップ開発における重要な差別化要素となる。

ソシオネクストは2025年に構成可能なチップレット・エコシステム「Flexlets」を発表しており、メモリやI/O拡張チップレットを組み合わせたカスタム・マルチダイ設計の提案を進めている。AIデータセンター向けチップでは、演算ダイ単体の性能だけでなく、メモリ帯域、I/O、パッケージ内接続、電力供給、冷却を含む全体最適が重要になるため、こうしたマルチダイ設計の経験は競争力につながる。

爆発的なAI需要でBroadcomやMarvell、台湾AlchipなどがAIデータセンター向けカスタムSoC市場で存在感を高める中、今回の発表はソシオネクストもAIデータセンター向けカスタムSoC市場に本格的に軸足を移しつつあることを示すものと言える。ソシオネクストの知名度はまだ限定的かもしれないが、今回のような取り組みにより、先端AIインフラ向けカスタムシリコンの有力プレイヤーとして存在感を高めることができれば、新規のAIデータセンター向けのカスタムSoC/チップレット案件の獲得に繋がる可能性はある。

なお、同社のIR資料によると、2026年3月期のデザインウィンは約3,100億円で、大型案件は主にData Center & Networking分野で獲得したと説明されている。

ソシオネクスト株式会社

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2026.07.03 )