Cadence、NVIDIAと連携しRTL設計/検証向け「完全自律型バーチャル・エンジニア」を発表
2026年6月1日、Cadenceは、NVIDIAのAI技術を活用したRTL設計向けの自律型AIエージェント機能を発表した。
今回の発表は、CadenceのRTL設計向けAIエージェント「ChipStack AI Super Agent」に自律性をもたらすもので、“バーチャル・エンジニア”として「ChipStack AI Super Agent」がRTL設計・検証工程の複雑なワークフローを自律的に実行できるようになるという。
具体的には、仕様理解、RTL生成、検証計画、フォーマル解析、シミュレーション、デバッグ、設計収束といったタスクを、逐次的なプロンプト指示に頼らず自律的に進められるとのこと。その中核技術として新たにNVIDIAの大規模言語モデル「Nemotron」を推論エンジンとして活用。さらにNVIDIAのセキュアなランタイム環境「NVIDIA OpenShell」を採用することで、外部の脅威から守られた環境で、セキュアで自律的なエージェント型AIの運用を実現している。
バーチャル・エンジニア「ChipStack AI Super Agent」の適用例として強調されるのは、RTL検証工程における効果で、Cadenceは「ChipStack AI Super Agent」を論理シミュレータ「Xcelium Logic Simulation」およびフォーマル検証ツール「Jasper Formal Verification」と組み合わせることで、RTL検証サイクルを40倍以上高速化し、通常5週間かかる検証ループを1日未満に短縮できるとしている。この適用効果は、数千人のエンジニアが年間数十億時間規模のコンピュートを使い、数百万件のテストを実行しているNVIDIAによって実証されているようだ。
Cadenceは2025年11月にChipStackを買収後、2026年2月に最初の製品を投入し、4月のCadenceLIVEではカスタム/アナログ設計向けの「ViraStack AI Super Agent」、デジタル実装・サインオフ向けの「InnoStack AI Super Agent」、エージェント型ワークフローを統合管理する「Cadence AgentStack」を発表していた。
今回の発表は、これらのAI Super Agent群をさらに自律化する取り組みと位置付けられ、CadenceによるAIへの集中投資の成果と見て取れる。とりわけ、NVIDIAが自社のチップ設計で実績を持つLLMを、CadenceのEDA環境内で活用できるようになる点は、ユーザーにとって大きな関心事となりそうだ。
Level-5自律機能を備えた「ChipStack AI Super Agent」およびAgentStackオーケストレーション・フレームワークは、2026年後半に早期アクセス顧客向けに提供開始される予定。

日本ケイデンス・デザイン・システムズ社
= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2026.06.10
)




