チップ設計に特化したAIを手がける米CognichipがシリーズAラウンドで6000万ドルを調達

2026年4月1日、半導体分野向けAIスタートアップの米Cognichipは、シリーズAラウンドで6000万ドルを調達したと発表した。

プレスリリース

Cognichipは、チップ設計に特化したAI技術を開発するスタートアップで、2024年設立。本社はカリフォルニア州レッドウッドシティに置く。創業者兼CEOのFaraj Aalaei氏は、過去に2社の半導体企業をIPOに導いた実績を持つ起業家として知られる。今回の資金調達に伴い、Intel CEOのLip-Bu Tan氏と、IDT、Mellanox、PA Semiで経営に携わった経歴を持つSeligman VenturesのUmesh Padval氏が、Cognichipの取締役に加わる。

今回の6,000万ドルを加えると、同社の累計調達額は9,300万ドルとなる。新規投資家としては、日本のSBI Investmentも参加した。

Cognichipが開発しているのは、「ACI(Artificial Chip Intelligence)」と呼ぶ半導体設計向けの独自AI技術だ。同社によると、ACIは物理法則を取り込んだ基盤モデルをベースに、論理設計と物理設計の両面を踏まえて設計課題を解くAIだという。同社は「ACI」により、チップ設計期間を50%短縮し、開発コストを75%削減できる可能性があるとしている。

詳細な技術仕様は明らかにしていないものの、Cognichipは「ACI」について、汎用LLMに単純なラッパーを重ねたものではなく、半導体設計に特化したモデル、データセット、インフラを一体的に構築したフルスタック型ソリューションである点を強調している。過去2年間にわたり、チップ設計者とAI研究者からなるチームが、設計、検証、製造にまたがる制約を織り込んだデータ基盤を整備してきたという。

また同社によれば、すでに半導体業界上位20社の多くを含む30社超の関連企業と連携しており、対象領域はデジタル、アナログ、ミックスドシグナル、さらにはファウンドリ環境にまで広がっているという。

Cognichipのソリューションは、1990年代に確立された大規模チップの逐次的な設計プロセスを、AIによって並列化することを目指すものだ。その先には、チップ開発の参入障壁を下げ、設計の民主化を実現するという構想がある。

業界の有力人材や投資家が集まり支援している点を踏まえると、同社は加熱しているAIベースの半導体設計市場における注目企業の1社となる可能性がありそうだ。

Cognichip 

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2026.04.07 )