RTL設計向けエージェントAIを手がけるChipAgentsが5,000万ドルを追加調達

2026年2月17日、エージェントAIを用いたRTL設計ツールを手がける米ChipAgentsは、シリーズA1ラウンドで5,000万ドル(約76億円)を調達したと発表した。

プレスリリース

発表によると、今回の資金調達はTSMCが支援するベンチャーキャピタルのMatter Venture Partnersが主導し、既存投資家であるMicron、MediaTek、Ericssonなどが参加した。ChipAgentsは2025年10月に2,100万ドルを調達したばかりだが、事業の急拡大を受けて追加調達に踏み切った形だ。

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今回の5,000万ドルを含めて、同社の累計調達額は7,400万ドル(約110億円)に達した。なお、今回のラウンドには参加していないものの、Samsungも同社の投資家の一社として名を連ねている。

ChipAgentsによると、同社は2025年に前年比140倍の収益成長を達成し、大手半導体企業80社に製品を導入済み。複数年・数百万ドル規模のライセンス契約も複数件獲得しているという。顧客企業名は公表していないが、投資家であるMicron、MediaTek、Ericsson、Samsungに加え、STMicroelectronicsやAndes TechnologyもChipAgentsのユーザーであるようだ。

創業当時10名だった従業員数は46名に拡大しており、今回の資金調達に伴い、投資家Matter Venture Partnersの創業メンバーの一人であるWen Hsieh氏が同社の取締役に就任した。Wen氏は半導体業界のベテランで、ChipAgentsをTSMCのエコシステムにつなげるキーパーソンとみられる。同氏のほかにChipAgentsの取締役会には、Mentor Graphics元CEOのWally Rhines氏、Synopsys元CTOのRaúl Camposano氏、Cadence元CEOのJack Harding氏、Cadence Israel元CEOのErez Tsur氏など、EDA業界の重鎮が名を連ねている。

ChipAgentsのエージェントAIプラットフォームは、複数のエージェントを用いたRTL設計・検証の統合環境で、自然言語ベースで設計が可能。仕様書を理解し、目標性能に応じたRTLの生成、検証、デバッグ、最適化までのループを自律的に実行できる。最新版では、以下のような機能強化が行われたという。

  • 仕様書の読み取り・理解を15倍高速化
  • 形式アサーション生成時間を240分の1に短縮
  • 形式検証によりコード/機能カバレッジ100%を実現
  • UVM環境生成を400倍高速化

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ChipAgentsは自社のエージェントAIプラットフォームを、単なるコパイロットやアシスタントではなく「エージェント型のAI人材」と位置づけ、AIネイティブな開発手法をあらゆるチップ設計のデフォルト・モデルにすることを目指している。現時点の実績を見る限り立ち上がりは順調で、すでにソリューション拡大フェーズに入った印象だ。SynopsysやCadenceといった大手EDAベンダもエージェントAI型ソリューションに注力するなか、ChipAgentsの成長がどこまで続くか注目される。

ChipAgents

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2026.02.19 NEW