25歳が率いる謎のAI半導体スタートアップ英Olixが2億2000万ドルを調達

2026年2月11日、AI半導体スタートアップの英Olixは、資金調達シリーズAラウンドで2億2000万ドルを調達した。

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Olix(旧Flux Computing)は、AI推論チップを手がける半導体スタートアップで設立は2021年。ロンドンに本社を置く。

同社は、インペリアル・カレッジ・ロンドンとケンブリッジ大学出身のフォトニクス・エンジニア、AIアーキテクト、そして半導体業界のベテランからなるチームによって設立され、その後2024年に社名をOlixに変更し、25歳のJames Dacombe氏が第二創業メンバーとして経営に加わった。同氏は連続起業家であり、10代の頃に脳モニタリングのスタートアップ企業CoMindを設立し1億ドルの資金を調達した実績を持つ。

今回の資金調達により同社の累計調達額は約2億5,000万ドルに到達。企業評価額は10億ドルを超えたとされている。Olixは調達した資金により、今後1年以内に従業員数を70名から200名以上に倍増させ、2027年までに最初の商用製品を出荷することを目指している。

Olixが狙うのは、NVIDIAのGPUやGoogleのTPUとは異なる、フォトニクスを用いた推論チップの実現だ。現在、業界のボトルネックとなっているHBMや高度なパッケージング技術に伴う複雑なサプライチェーンを意図的に回避し、より高性能・低消費電力・低コストなAI推論ソリューションの提供を掲げる。

開発中とされる「Optical Tensor Processing Unit(OTPU)」は、光を用いて計算を行うフォトニック・コンピューティングと、SRAMベースのメモリ中心アーキテクチャを組み合わせるという点以外、詳細は明らかになっていない。一方で、すでに技術実証を終えており、データセンターや自動車分野の顧客との協業も開始しているとされる。いずれにせよ同社が見据えるのは、既存の推論チップの延長線上ではなく、その先にあるアーキテクチャだ。ニューロモルフィック・コンピューティングやアナログ・コンピューティングなど、新しい計算パラダイムに注力する新興AIアクセラレータ企業を競合として意識しているように見える。

半導体業界では近年、爆発的な計算需要と電力需要の高まりを背景に、AI半導体の抜本的なアーキテクチャ革新の必要性を訴えるスタートアップが相次いでいる。アプローチは各社で異なるが、フォトニクスとアナログAIは有望領域の一つとみられ、この数年で大きなブレイクスルーが生まれる可能性もある。AI半導体の主導権を米国企業が握る中、フォトニクスで勝負するという設計思想で差別化を狙う、若きリーダー率いる英国企業の動向に今後も注視したい。

OLIX

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2026.02.18 NEW