チップレット向けインターコネクトIPの本命、米EliyanがAMD, Arm, Meta から5,000万ドルを追加調達

2026年1月28日、マルチダイ・アーキテクチャ向けの相互接続ソリューションを提供する米Eliyan Corporationは、5,000万ドルの追加資金調達を発表した。

プレスリリース

発表によると今回のラウンドには、新規投資家としてAMD、Arm、Coherent、Metaなどが参加。既存投資家のSamsung、Intelなども加わり、Eliyanは合計5,000万ドル(約75億円)を調達したという。
Eliyanはこれまでに資金調達を計4回公表しており、累計調達額は1億5,000万ドル超に達する(※3回目の調達額は非公開)。また、同社の投資家にはSK hynixやMicronも名を連ねている。

半導体大手が相次いで投資するEliyanは、2021年創業のスタートアップで、本社はカリフォルニア州サンタクララ。創業者のRamin Farjadrad氏は、SerDesやPHYなど通信/ネットワーク領域の専門家で、関連特許を130件以上保有する。過去にはEthernet PHYのAquantiaを創業して上場を果たし、その後Marvellによって約4億5,000万ドルで買収された実績もある。

Eliyanが注力するのは、データセンターにおけるボトルネックとして存在感を増す「チップ間接続」だ。同社は、ダイtoダイ(D2D)、ダイtoメモリ(D2M)、パッケージ外のチップtoチップ(C2C)に加え、ラックレベルのスケールアップまでを視野に入れた高速・低消費電力のインターコネクト製品群を展開している。

Eliyanの製品

NuLink™ D2D
Eliyan独自の同時双方向(SBD:Simultaneous Bi-Directional)シグナリングに対応した、64GbpsクラスのPHY。プロトコル非依存で、UCIeやBoWなどの標準規格に加え、独自リンクにも対応可能とする。1本のワイヤで送信と受信を同時に行えるため、帯域幅密度を2倍に引き上げられるという。

NuLink™ C2C(NuLink-X)
複数のパッケージ/モジュールを、基板・ボード・システム間で接続するためのソリューション。112G/224G SerDesと比べて1/5以下の低消費電力をうたい、同一PCB上の2つのパッケージ間で、D2Dよりも長距離のC2C接続を可能にする。次世代の32~64GbpsシングルエンドSerDesとして位置づけられ、将来的には224/448Gbps SerDesもサポート予定としている。

NuGear™ チップレット
NuLinkを実装した、メモリおよびI/O接続用途のチップレット。

Eliyan HP上のデータ

Eliyanに投資が集まる理由

Eliyanへの期待、投資が集まる理由は大きく2つある。
1つ目は、NuLinkの中核であるSBDシグナリング技術によって、パッケージ内のHBM搭載数(密度)を増やしやすくなる点だ。
2つ目は、他のPHYがシリコン・インターポーザー上でしか達成しにくいレベルのダイ間通信性能を、標準的な有機基板上で低消費電力で実現できる点である。これが実現できれば、供給逼迫とコスト上昇の要因にもなっているTSMCのCoWoSなど先端パッケージへの依存を下げつつ、短期間かつ低コストで高性能なマルチダイ・チップを製造できる。※NuLinkはシリコン・インターポーザー上でも高性能/低消費電力なダイ間通信を実現可能

言い換えるとEliyanのソリューションは、データセンターのAIワークロードで課題となりやすいダイtoメモリ(D2M)接続の最適化と、演算能力の最大化を同時に狙えるアプローチであり、さらにAI向け高性能チップの開発・製造コストを大きく削減できる。これらの実現性の高さが投資に繋がっていると言えるだろう。

なおEliyanのソリューションは、これまでハイエンド製品に限定されがちだったチップレット・アーキテクチャを、先端パッケージを不要とするという意味でより広範な市場へ拡大できる可能性もある。
技術的なバックグラウンド、経営者の能力、製品の将来性などを踏まえると、Eliyanはチップレット向けインターコネクトIPの本命と言っても過言では無いだろう。引き続きEliyanの動向を注視していきたい。

Eliyan Corporation

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2026.02.13 NEW