NVIDIAがSynopsysに20億ドルを出資、AI、デジタルツイン、GPU活用で協業強化

2025年12月1日、NVIDIAとSynopsysは両社の戦略的パートナーシップを拡大。NVIDIAがSynopsysに20億ドルを出資することを発表した。

プレスリリース

発表によるとNVIDIAはSynopsysの普通株式に20億ドルを投資し、1株あたり414.79ドルの価格で購入。この発表後、Synopsysの株価は上昇し一時株価440ドルを超えた。※Synopsys株価推移

両社は以前から多岐にわたる協業により強力な関係を築いていたが、資本関係を持つのは今回が初。その背景にはNVIDIAの急成長と合わせてSynopsysによるAnsysの買収やAIベース開発の本格化といった事実が見て取れる。

両社は更なる協業強化の具体的な取り組みとして下記5点を挙げている。

・Synopsys アプリケーションの大幅な高速化: NVIDIA CUDA-X ライブラリと AI-Physics テクノロジを使用し高速化を図る

・高度なエージェント AI エンジニアリング:両社のAIエンジニアリング技術、Synopsys AgentEngineer™ テクノロジーをNVIDIA Agentic AI テクノロジー スタックと統合し、 自律的な設計機能を実現する

・デジタルツインによる物理世界とデジタル世界の接続：NVIDIA Omniverse、NVIDIA Cosmosなどデジタルツイン技術を活用し、次世代の仮想設計、テスト、検証を実現

・クラウド対応ソリューション: クラウドベースのGPUアクセラレーション・エンジニアリング・ソリューションの実現

・共同の市場開拓イニシアチブの構築：ソリューションの営業面でも協業し、Synopsysの営業ネットワークを中心にOmniverseテクノロジーなどNVIDIAソリューションの販促を進める

なお、両社はともに今回の提携は排他的なものではないとしており、当然ながらSynopsysは引き続きNVIDIA以外の企業にもEDA製品を供給。NVIDIAもSynopsys以外のEDAベンダとの関係を維持するものとみられる。

しかしながら、資本関係も含めた両社の繋がりが業界に与えるインパクトは大きく、EDAソリューションが今後よりGPUベースに傾いていくことは必至で、さらにAI技術の活用に関する競争が激化していくことも予想される。また、マルチフィジックス・シミュレーションに関しては、Cadenceの後塵を拝していた感があったSynopsysだが、Ansysの買収に続く今回のNVIDIAとの関係強化により、一気に巻き返しを図る可能性が見えてきている。

日本シノプシス合同会社
NVIDIA