RTL設計向けAIエージェントのChipAgentsが自律型の根本原因分析ツールを発表

2025年11月5日、RTL設計向けAIエージェントを手がけるChipAgentsは、新たなAIエージェント「ChipAgents Root Cause Analysis(RCA)」を発表した。

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「ChipAgents RCA」は、RTLのデバッグにおいて自律的にバグの根本原因を分析するマルチAIエージェントで、エラーログと波形を使用して障害の原因を自動的に追跡し、問題の解決策を提案するするもの。

このマルチ・エージェント型の解析システムは、ChipAgentsが開発したAIエージェント向けの波形理解エンジン(業界初)と、仮説を並列に追跡するマルチ・エージェント証明検証アルゴリズムで構成されており、複雑なプロトコル、複数のクロック・ドメイン、数万行のHDLを持つ大規模IP内の複雑なバグ (バック・プレッシャーの問題、データ破損、パイプラインの不整合など) を正常に検出できるという。

ChipAgents RCAの処理イメージ:ChipAgents ホームページより引用

ChipAgentsによると「ChipAgents RCA」は、検証時の欠陥解決率において最先端のソフトウェアAIエージェントと比較して3倍の能力を持ち、人間のエンジニアよりも12倍以上の速さでエラーを解決することが可能。

実際にPCIe 3.0 IP(コード行数は36,000行)のAXIにおけるわずかな「off-by-one」エラーを題材に人手のデバッグと「ChipAgents RCA」を用いたデバッグを比較したところ、大手ファブレス半導体企業に勤務する中堅エンジニアは、2時間作業してバグが含まれていたファイルを正しく特定したが、具体的な原因を特定することはできず問題解決を諦め、完全に解決するには4~8時間かかると予測。一方で「ChipAgents RCA」は、10分間で正しいコードパッチを含む正確な修正内容まで特定したという。

ChipAgentsは、先頃資金調達Aラウンドで2100万ドルを調達したばかりのスタートアップだが、現在すでに世界トップ20の半導体企業の半数以上を含む50社以上に製品を出荷しており急成長を遂げている。ChipAgentsは「ChipAgents RCA」を用いた自動根本原因解析によって、次世代の設計エンジニアが手作業によるデバッグから解放される未来を期待しているとコメントしており、RTL設計/検証のゲームチェンジャーとして今後更なる成長が期待される。

ChipAgents

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2025.11.12 NEW