半導体特化のインキュベーターSilicon Catalyst Japanが始動
2025年11月3日、半導体に特化したインキュベーター/アクセラレーター Silicon Catalyst は、日本・韓国での支援体制を拡張する新組織 「Silicon Catalyst Japan」 の設立を発表した。
Silicon Catalystは2015年に設立された米国企業で本拠地はカリフォルニア州サンタクララ。インキュベーター/アクセラレーター として「シリコン専業」で、EDAツールから試作、テスト、量産候補先までを束ねた垂直エコシステムを実装している点が同社の最大の特徴。スタートアップに対して、チップ開発のリスクとコストを構造的に低減する役目を果たしてくれるのがSilicon Catalystである。
同社のパートナーには、TSMC、Synopsys、Arm、ST、MathWorksなど60社超のパートナーが名を連ねており、スタートアップはインキュベーション・プログラムを通じて、これらパートナーからEDA、IP、PDK、試作、パッケージ、テスト、ビジネスツールなどの現物提供を受けることが可能。すでに1億5,000万ドルを超える現物提供の実績があるという。
また、400社を超える外部の投資家ネットワークのほか、自社のエンジェル組織「Silicon Catalyst Angels」 と2024年2月に設立した自社のベンチャーファンド「Silicon Catalyst Ventures(SCV)」がスタートアップを資金面でサポート。Silicon Catalystを通じた投資実績はすでに6億ドルを超えているという話だ。
Silicon Catalystはここ数年でUK、EUと拠点を拡大しており、今回Silicon Catalyst Japanを設立。Silicon Catalyst Japanでは、日本および韓国の半導体スタートアップを支援していく計画で、代表取締役兼共同創業者には東京エレクトロン株式会社を経てTEL Ventures社長を14年間務めた圓城寺啓一氏が就任している。
半導体スタートアップには、EDAやIPの調達、試作コスト、ファウンドリとの契約など、製品化の過程で様々な壁が多数存在しておりその壁はいずれも高いため、事業を立ち上げ製品を市場に送り出すためには、単なる投資家ではなくSilicon Catalystのような専門家のパートナーが必要不可欠とも言える。日本の半導体再興に向けてベンチャー育成は最重要課題の一つであるため、今回のSilicon Catalyst Japanの設立を歓迎し今後に期待していきたいところだ。
なお、Silicon Catalyst Japanは、ローンチイベントを2025年12月16日に都内で開催予定。インキュベーション第1期は、2026年1月開始予定で現在スタートアップを応募中とのこと。
Silicon Catalyst Japan
= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2025.11.11
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