Armがチップレット市場の拡大に向けて技術資産をOCPに寄贈

2025年10月14日、Armは非営利団体「Open Compute Project Foundation (OCP)」の理事会メンバーに就任したこととあわせて、OCPに「Foundation Chiplet System Architecture(FCSA)」仕様を寄贈することを発表した。

プレスリリース

「Open Compute Project Foundation (OCP)」は、2011年にMeta(当時のFacebook)が中心となって立ち上げたデータセンター向けハードウェアの相互運用とオープンソース化を推進する非営利団体。オープンソースの考え方をハードウェアに適用し、データセンター向けサーバ、ネットワーク、ストレージ、ラックなどの設計・ベストプラクティスの共有を進めてきた。

今回ArmはAMDおよびNVIDIAと共にOCPの理事会メンバーに就任。同時にその活動への貢献の大きな一手として、同社が取りまとめたベンダー/CPUアーキテクチャ非依存のチップレット設計仕様「Foundation Chiplet System Architecture(FCSA)」の寄贈を決めた。

画像はArm公開のデータ

Armは、Armベースのシステムをチップレットで構成するための具体的な仕様「Chiplet System Architecture(CSA)」を今年1月に公開。すでに60社超がCSAベースのチップ開発プロジェクトに関与しており、そのエコシステムは拡大を続けている。

ArmがOCPに寄贈する「FCSA」は「CSA」をベースにチップレット設計の中立仕様として定義し直された「CPU非依存のチップレット設計の“共通ベース仕様”」といえるもの。チップレットはSoCを機能単位で分割・再構成できる一方、各社バラバラのやり方だと相互接続・検証・調達が難しくなるため、共通ルールの策定が大きな課題となっていた。OCPとArmは「FCSA」とArmのエコシステムを活用することでチップレット設計の課題に取り組むと同時に相互運用できるチップレット市場の地ならしを進めていく構えだ。

またArmはOCP活動の一つとして、OCPの新プロジェクト「ESUN(Ethernet for Scale-Up Networking)」への参加も表明。

「ESUN」は、データセンターにおけるAIクラスタの拡張に向けて、「Ethernet」をAIクラスタ通信のオープン・スタンダードとして推進するプロジェクトで、同プロジェクトの参加メンバーとしては、以下のOCPメンバー企業の名前が挙がっている。

AMD、Arista、ARM、Broadcom、Cisco、HPE Networking、Marvell、Meta、Microsoft、NVIDIA、OpenAI、Oracle

現行のAIサーバーでは、NVLink、Infiniband、RoCEなど通信規格が乱立しているが、「ESUN」の活動は「Ethernet」をもとにそのインフラ再構築を目指す。今後は業界を取り巻く動きとして、AI/HPCクラスタのスケールアップに「Ethernet」の活用が進んで行きそうだ。

Open Compute Project Foundation
Arm

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2025.10.28 NEW