アナログ・チップ向けAI設計ツールのMaieutic Semiconductorsが600万ドルのシード資金を調達
2025年10月21日、インド発のEDAスタートアップ Maieutic Semiconductors は、600万ドルのシード資金を調達したことを発表した。
Maieutic Semiconductorsは、アナログ・チップ設計に特化した「AIコパイロット」搭載のEDAツールを開発するインドのスタートアップ。
創業者であるCEOのGireesh Rajendran氏は、ミリ波レーダー向けのトランシーバ、センサー・モジュールなどを手がけるSteradian Semiconductorsを創業しルネサスに売却した経歴を持つ。
今回、同社にシード資金調達を主導したのは、東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)で、Endiya PartnersおよびExfinity Venture Partnersも出資している。同社は今年7月にも415万ドルのシード資金を調達しており、今回のラウンドで累計調達額は1,000万ドルを超えた。
Maieutic Semiconductorsが開発するのはアナログ設計に特化した「AIコパイロット」で、既存のEDA環境内で動作し設計仕様や回路図、シミュレーション結果を理解した上で、自然言語での質問応答、回路アーキテクチャやトレードオフの提案、設計の自動レビューなどを行うことができるという。
この「AIコパイロット」は、研究論文や特許などの公開データで学習しており、ユーザー環境内で動作するため設計データの機密性を確保できる点も大きな特徴の一つ。初期検証では、従来のアナログ設計サイクルを最大3分の1に短縮できる可能性が示されている。
Maieutic Semiconductorsは、2026年3月までに早期ユーザートライアルを開始予定で、まずはインドおよび日本の半導体企業を対象に展開を進める。
アナログ設計の分野ではCadenceがAI技術を搭載したツールを既に投入しているが、コパイロットという形でAIを使うアナログEDAツールはおそらくMaieutic Semiconductorsが業界初。アナログ設計という職人的な世界をAIでどこまで変革できるか?同社の今後の展開に注目していきたい。
Maieutic Semiconductors
= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2025.10.24
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