RTL設計向けエージェント型AIを手がけるChipAgents、資金調達Aラウンドで2100万ドルを調達

2025年10月21日、エージェント型AIを使用したRTL設計ツールを手がける米ChipAgentsは、資金調達Aラウンドで2100万ドル(約32億円)を調達したと発表した。

プレスリリース

発表によると、今回の資金調達ラウンドはBessemer Venture Partnersが主導。Micron Ventures、MediaTek、Ericssonなど大手半導体企業が戦略的投資家として参加している。これら半導体大手はChipAgentsのユーザーと考えて良いだろう。

今回の資金調達によりChipAgentsの累計調達は2400万ドルに到達。ChipAgentsのツールはすでに50社以上の半導体企業が導入し、2025年前半には月間利用量が6,377%増、年間収益が前年比50倍と急成長を遂げているという話だ。

ChipAgentsは、RTL設計・検証向け「エージェント型AIプラットフォーム」を開発するEDAベンダ。CEO William Wang氏は、生成AIと大規模言語モデルの専門家で主要な自然言語処理学会で200本以上の論文を発表している。

同社のソリューションの特徴は、単なる生成AIではなく「エージェント型」の自律実行フレームワークを採用している点がで、AIエージェントを活用してRTL設計やテストベンチ生成、デバッグ、検証などの工程を自動化し、自然言語による指示で設計を進められる環境を提供している。これにより、従来のツール連携の煩雑さや検証作業の手作業負担を大幅に削減し、80%の生産性向上を実現できるとする。

先日開催されたセミナー・イベント「Design Solution Forum 2025」にWilliam Wang氏が来日し、同社のソリューションについて講演を行なっているので、興味のあるかたはそちらをご参照いただきたい。(同イベントのアーカイブ動画は10/27まで視聴可能。要登録)

ChipAgentsには最近、Mentor Graphics元CEOのWally Rhines氏、Synopsys元CTOのRaúl Camposano氏、Cadence元CEOのJack Harding氏、およびCadence Israel元CEOのErez Tsur氏らEDA業界の重鎮たちがアドバイザリー・ボードに参画している。これは同社のポテンシャルの高さを裏付けるものとも言え、同社が次世代EDAの強力なプレイヤーとして位置づけられ始めていることを示唆している。

ChipAgents

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2025.10.23 NEW