半導体ベンダの今年の設備投資額の見通しと業界の動向

2025年3月27日Semiconductor Intelligenceの記事:

Semiconductor CapEx Down in 2024 up in 2025

米国の調査会社Semiconductor Intelligenceは、半導体ベンダの2025年の設備投資額は前年比3%増の1,600億ドルに達すると予測している。2023年の設備投資額は1,640億ドルだったので、まだ一昨年の水準には達しないが、昨年の1,550億ドルよりは若干増える。

2025年の増加を牽引するのはTSMCとMicronの2社。TSMCは2025年の設備投資額を380億ドルから420億ドルと計画している。その中間値400億ドルを用いると、前年比100億ドル(34%)の増加となる。
Micronは8月に終了する2025会計年度の設備投資額を140億ドルと予測しており、前年度から60億ドル(73%)増となる。

これら2社を除くと、2025年の設備投資総額は2024年より120億ドル(10%)減少することになる。設備投資額のTop3であるTSMC, Samsung, Intelの中で設備投資額を増やすのはTSMCのみで、Intelは20%、Samsungは11%と大幅な削減を計画している。

※画像はSemiconductor Intelligenceの公開データ

<米CHIPS法>

米国は国内における半導体製造の拡大を目的としてCHIPS方を制定し、計32社、48件のプロジェクトに対して計320億ドルの助成金と60億ドルの融資を発表している。しかし、トランプ政権はCHIPS法に反対を表明し、米国議会に同法の廃止を要請した。CHIPS法が廃止された場合、発表された投資の運命は不透明だ。CHIPS法で計画されている大きなプロジェクトは以下の通り。

※画像はSemiconductor Intelligenceの公開データ

<トランプ関税>

トランプ政権は、米国への半導体輸入に25%以上の関税を課すことを検討している。米国は2024年に630億ドルの半導体を輸入した。これらの輸入のうち280億ドル(44%)は、ウェハー製造能力は大きくないが、組み立ておよびテスト施設の主要拠点であるマレーシア、タイ、ベトナムの3か国からのものであり、米国の半導体輸入に占める中国製品の割合は20億ドル(3%)に過ぎないとみられている。したがって、米国からの半導体輸入に対する関税は、中国よりも米国に拠点を置く企業や米国にウエハー工場を持つ他の企業に大きな打撃を与える可能性が高い。

Semiconductor Intelligence

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2025.04.01 NEW