ウエハサイズのAIチップを手掛けるCerebrasがDellと提携、NVIDIAの牙城に挑む

2024年6月20日、DigiTimes ASIAの記事:

Cerebras partners with Dell to challenge Nvidia's AI dominance

ウエハ・サイズの世界一巨大なAIチップを手掛けるファブレス半導体ベンダ、Cerebras Systemsが最近Dellとの提携を発表した。

CerebrasはDellとの提携により世界的な販売チャネルが大幅に拡大。「Wafer-Scale Engine 3 (WSE-3)」 を搭載した最新のコンピューティング・システム「CS-3」でエンタープライズ市場に参入する計画で、AIシステムとスーパーコンピューター、高度な大規模言語モデル(LLM)トレーニング、専門的な機械学習サービスなどを提供する。

※画像はCerebras社Web上のデータ

CerebrasのCEOによると、同社のAIアクセラレータ技術はGPUの880倍のメモリ容量を提供し、LLMの構築に必要なコードを最大97%削減可能。

2024年5月には、「WSE-2」を使用した分子動力学シミュレーションの速度が、スーパーコンピューター「Frontier」の179倍であったことを米国の3つの国立研究所と共同発表している。(「Frontier」は39,000個のGPUで構成されている)

CerebrasのAIチップは、多数のコンピューティング・コアを単一のウエハ上に統合し、大規模なAIアクセラレータ・チップを形成している。このウエハ・スケール処理技術は、Nvidia「H100」などで行われているようなモジュール間の大規模な高速相互接続の必要性が無く、計算速度とメモリ使用率の点で利点があり、単一のチップ上で膨大な並列計算機能を提供することが可能。

GPUの相互接続技術「NVLink」により、より多くの並列コンピューティングGPUをパッケージ化しているNVIDIAに対し、Cerebrasは大規模なシングルチップ・アプローチを追求することで市場の攻略を目指す。

DigiTimes ASIA

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2024.06.21 )