インメモリコンピューティングでエッジAIの革新を狙う〜スイスSyntharaが1140万ドルを調達
2024年6月6日、スイスの半導体スタートアップ企業 Syntharaが1140万ドルの資金調達を発表した。
Syntharaは、チューリッヒ工科大学とチューリッヒ大学による神経情報科学研究所からのスピンオフとして2019年に設立された半導体スタートアップで、2016年にIntelに買収されたMovidiusの創設者Sean Mitchell氏が会長、Armの創業者でもある投資家Hermann Hauser氏が顧問を務めている。
Syntharaが提供するのは「ComputeRAM™」と呼ぶ演算機能を統合したSRAMマクロで、マイクロ・コントローラ上のSRAMの置き換えを狙うもの。「ComputeRAM™」を利用することで実装プロセスや命令セット・アーキテクチャを問わず、既存のチップ設計にインメモリコンピューティングをシームレスに統合することが可能。
Syntharaによると「ComputeRAM™」はAIやDSPのような線形代数を多用するワークロードに対してエネルギー効率とレイテンシの両方の点で優れた性能を発揮。実際にSRAMを「ComputeRAM™」で置き換えた「Arm Cortex-M0」は、SRAM搭載の「Arm Cortex-M0」よりも最大139倍の処理速度と158倍のエネルギー効率で行列とベクトルの乗算を実行できたという。また「ComputeRAM™」を使うことでMLCommons MLPerf™ Tiny ベンチマークの最高結果よりも最大65倍高速な処理と513倍優れたエネルギー効率を実現できるとしている。
Syntharaは組み込みシステムにおける専用のAIアクセラレータを不要とするソリューションとして、「ComputeRAM™」をエッジAIのゲームチェンジャーとして普及させることを目指す。「ComputeRAM™」はすでにテープアウトされ製品に組み込まれた実績があるが、今回投資家から調達した550万ドルと欧州およびスイスからの助成金590万ドルは「ComputeRAM™」の更なる市場拡大に投入する計画。
= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2024.06.07
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