エッジ向け生成AIアクセラレータのスペインRaiderChipが100万ユーロを調達
2024年5月8日、エッジAI向けのアクセラレータIPを手掛けるスペインの半導体スタートアップRaiderChipは、シードラウンドで100万ユーロ(約1億7000万円)を調達したことを発表した。
RaiderChipは今年3月に創業したスタートアップで、同じくスペインの半導体IPベンダVISENGI社(2009年創業)からのスピンアウト。同社が提供するのは、FPGAプラットフォームをターゲットとした生成AIアクセラレータIP「GenAI v1」 で、同IPはCPU無しの自律型でも組み込み型でも動作可能。Microsoft Phi-2 Small Language Modelから、Meta Llama-2 および Llama-3 LLMまで様々な言語モデルをサポートしている。
「GenAI v1」の特徴は、独自ノウハウによる低レベルのサイクル設計によってAI 処理における重大なボトルネックであるメモリ帯域幅を最適化し、トークンあたりの処理速度を20%以上向上させている点で、同じメモリ技術を使用して優れたスループットを実現。1秒あたりに処理できるトークン数は、Intel Gaudi, NVIDIA GPU, Google 最新のTPUよりも25〜37%多いとしている。
「GenAI v1」は、最も低コストのエントリーレベルのAMD「Versal Prime VM1102」から、より強力な「Versal AI Edge VE2302」までAMD Versal FPGAのすべてのサブファミリーで実装可能。実際にボードおよびAWS F1 インスタンス上に実装してデモを行っているようだ。
20年以上のハードウェア設計ノウハウを有するというRaiderChipは、低価格デバイス向けの8Kパフォーマンスでは無敵と自負する市場最速のH.264ビデオ・エンコーダーを開発した実績があるということで、「GenAI v1」を用いた「Generative AI Edge システム」により、家電のスタンドアロンAIアシスタントから小型デバイスの組み込み生成AIアクセラレータなど、エッジAI市場に革命を起こすと意気込んでいる。
= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2024.05.24
)