オープンソースでASICの開発障壁を下げる、産総研傘下の非営利団体「OpenSUSI」が始動

2024年4月5日、産総研が全額出資するAIST Solutionsが「一般社団法人OpenSUSI」を設立した。

OpenSUSIホームページ

OpenSUSIの代表理事に就任したのは、AIST Solutionsで半導体事業のプロデューサーを務める岡村淳一氏。同氏は自らファブレス半導体ベンダを創業するなど、半導体チップの設計者として業界35年以上の経験を持つ。

OpenSUSIが目指すのは生産量の少ないロングテール半導体の設計・製造の容易化で、近年半導体業界で一つの潮流として注目されている「半導体開発のオープン化」に倣い、オープンソースのEDAとオープンソースのPDKによるASIC開発のプラットフォーム作りを目指す。

具体的にはGoogleの無料ASIC製造プログラム「OpenMPW(Open Multi Project Wafer)」の立役者の一人Efablessの代理店となり、日本において半導体(ASIC)製造の委託仲介サービスを開始する。

Efablessは、低コストな半導体製造サービスを手掛けるファブレス企業で、オープンソースのEDAツールを活用したクラウドベースの設計プラットフォームを提供し、ユーザーのチップ設計、製造、テストを支援している。同社が利用するファウンドリはGlobalFoundriesとSkyWater Technologyで、ユーザーは両社が提供するオープンソースのPDKを利用できる。

Efablessのサービスはオープンソースを基本に成り立っていて、設計に利用できるオープンソースのIPなども提供されている。また、同社のサービスを支持するスタートアップ企業、大学、研究機関などのユーザーが形成するユーザー・コミュニティによって、チップ設計に関する様々なサポートを受けることができる。

Efabless同様、OpenSUSIが狙うのは日本国内におけるスタートアップ企業、大学、研究機関など、市販の汎用チップの利用ではなく、目的に応じて最適化した少量のカスタム・チップを作りたいというニーズで、Efablessの代理店として活動しつつ国内に多数あるレガシー・ファブを利用したASIC製造の委託仲介を目指していくという。

なおOpenSUSIの詳細については、2024年5月27日開催の下記イベントにて代表理事の岡村氏より紹介される予定。

産業技術総合研究所 先端半導体研究センター 第1回公開シンポジウム
2024年5月27日 月曜日 13時00分~17時20分

Efabless

OpenSUSI

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2024.05.21 )