チップ設計向けデザインIP市場、半導体市場の低迷をよそに2023年は前年比6%増の70.4億ドルに拡大

2024年4月19日、SemiWikiの記事:

Semi Market Decreased by 8% in 2023… When Design IP Sales Grew by 6%!

調査会社IPnestが今年4月にリリースしたレポートによると、チップ設計に用いる「デザインIP」の市場は2023年に前年比6%増の70億4000万ドルに拡大した。

全体的にはライセンスの売上が14%増、ロイヤリティの売上が6%減だった。
分野別ではメイン・カテゴリの Processor (CPU, DSP, GPU & ISP)が3.4%の微増。Physical (SRAM Memory Compiler, Flash Memory Compiler, Library and I/O, AMS, Wireless Interface) は1.4%減。Digital (System, Security and Misc. Digital) は4%増。Wired Interface(SerDesなど)は16%増とIP市場を牽引しており、全売り上げの約28% 20億ドル近くの売り上げとなっている。

市場の売り上げランキングでは、上位3社はArm, Synopsys, Cadence,の順で2022年と変わらず。Imagination Technologiesが4位から5位に後退しAlphawaveが4位に上がった。TOP10は下記図の通りでTop4以外は軒並み売上を落としている。

市場のトレンドとしては、スマートフォンなどのコンシューマー・アプリケーションをターゲットとするIPベンダーが収益を減らしているのに対し、インターフェイスIP製品を持つHPCやAIをターゲットとするIPベンダーが成長した。Armはスマートフォンの不振によるロイヤリティ収入の減少をライセンス収入28.6%増という高成長で補うことで5%の成長を達成。Arm Chinaからの収益が増加していることも大きいようだ。Synopsys, Cadence, Alphawaveの3社は、ハイパースカラー、データセンター、ネットワーキング、AIなどデータ中心のアプリケーションに向けた有線インターフェイスIP製品で大きな成長を遂げた。中でも有線インターフェイスIP製品の比重が大きいSynopsysとAlphawaveは成長率で突出している。

IP市場Top3の売上を2016年と比較すると以下の通りで、Synopsys、Cadenceともに売上が3倍以上に増加している。

なおIPのライセンス販売に関しては、昨年同様Synopsysが市場シェア首位で昨年の29.6%から31.5%にシェアを伸ばした。同様にArmもシェア25.1%から28.6%へとシェアの伸ばしている。

※画像は全てSemiWiki上のデータ

SemiWiki

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2024.04.23 )