Cadenceがエミュレーターとプロトタイピング・システムを刷新、新型の「Palladium Z3」と「Protium X3」を発表
2024年4月17日、Cadenceはハードウェア・ベース検証の新製品「Palladium Z3」と「Protium X3」を発表した。
Cadenceのエミュレーター「Palladium Z3」は、Cadence独自の専用プロセッサを搭載するハードウェア・デザインの高速検証を行う環境。もう一方の「Protium X3」は大規模先端FPGAをベースとしたプロトタイピング・システムで主にプレシリコン段階でのソフトウェア検証に活用する環境。
今回の製品刷新で「Palladium Z3」にはトランジスタ数1,000億超の TSMC 5nmプロセスで製造される新型プロセッサが、「Protium X3」にはAMD最新の7nm FPGA「VP1902」が搭載された。 7nm FPGA「VP1902」を搭載するプロトタイピング・システムは今回発表された「Protium X3」がおそらく業界初となる。
搭載するチップが新しくなり「Palladium Z3」と「Protium X3」はともにデザイン容量が最大480億ゲートに拡張され、パフォーマンスも1.5倍に向上された。
※画像はCadenceのプロモーション動画のスクリーンショット
「Palladium Z3」と「Protium X3」は同様のフロント・エンドを備えており、システム間のシームレスなデザインの移行・統合が可能。両システムに共通して搭載されているNVIDIAの「BlueField DPU」および「Quantum InfiniBandネットワーキング・プラットフォーム」がシステム間の容易なデザイン移行に一役買っている。
「Palladium Z3」 では今年1月にリリースされたドメイン特化の専用アプリ4-State Emulation App、Real Number Modeling App、Dynamic Power Analysis Appが利用できるほか、米メディアForbsが報じたところによると、Digital Mixed Signal Emulation App, Safety Emulation Appなども存在するようで、Digital Mixed Signal Emulation Appは従来の検証方法と比較して500倍の高速化を実現すると報告されている。
なお新しい「Palladium Z3」および「Protium X3」はすでに先行ユーザーに導入されており、一般提供の開始は2024年第3四半期からの予定。
= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2024.04.19
)