SynopsysがAnsysを買収、取引額は350億ドル相当
2024年1月16日、SynopsysはAnsysの買収を発表した。
AnsysはCAEソフトの大手企業で本拠地は米ペンシルベニア州、従業員数は約6,000人、2022年度の売上額は約20億ドル。構造解析、流体解析、電磁界解析、など様々なエンジニアリング向けのシミュレーション・ツールを提供しており、航空宇宙、自動車、エレクトロニクス、FA、エネルギー、医療など、多くの産業分野で利用されている。
EDAツールとしては買収したApache Design Solution社のパワー解析ツール「RedHawk」を主力製品として提供しており、半導体分野では同製品をベースにSynopsysと協業していた。
Synopsysとしては今回の買収は市場拡大への大きな一手で、システム分野の解析・シミュレーションというこれまで同社が積極的に踏み入れてなかった市場を一気に手にすることになる。Synopsysは今回の買収により同社の対応可能な市場規模は現在の1.5倍の約280億ドルに拡大するとしている。
Ansysが活躍していたCAE市場は近年競合のCadenceが積極的に開拓している分野でもあり、両社の競合関係はEDA分野を超えてさらに拡がる形となる。
Synopsysは昨年末に英国のEDAベンダImperasを買収しているが、EDA分野においてはもはや買収対象となる企業は少なく、今後は半導体/エレクトロニクスの周辺領域の市場攻略により力を注ぐことだろう。市場関係者の間ではかなり以前から、SynopsysがMathWorks社を買収するのではないかと言われているが未だ実現していない。
= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2024.01.18
)