SynopsysがAIを活用したビッグデータ解析ツールでAIソリューションを拡充

2023年9月6日、Synopsysは、「EDA Data Analyticsソリューション」として3種類のデータ解析ツールを発表した。
Synopsysによると「EDA Data Analyticsソリューション」は、IC設計・製造の各プロセスでEDAツールが生成する膨大なデータを活用して設計の品質と生産性の向上を実現するもので、AIを活用したビッグデータ解析技術がその核となっている。
データ解析に関する詳細は明らかにされていないが、「Synopsys Design.da」、「Synopsys Fab.da」、「Synopsys Silicon.da」という3種類のデータ解析ツールでEDAツールを用いるIC設計・製造の各プロセスを包括的にカバーし、ビッグデータを活用して生産性、PPA、パラメトリック/製造歩留まりの向上に役立てる。各解析ツールの役割は以下の通り。
Synopsys Design.da:
SynopsysのAIベース設計ツールの設計実行データから詳細な解析を行い、チップ設計者に包括的な可視性と設計上実用可能な洞察を提供。PPAの改善に役立てる。
Synopsys Fab.da:
製造装置の膨大なプロセス制御データ・ストリームを保存および解析し、運用効率を高め、製品の品質と製造歩留まりを最大化する。
Synopsys Silicon.da:
テスト装置からペタバイト規模のシリコン・モニタリング/診断/製造テストのデータを収集し、品質/歩留まり/処理能力などのチップ開発指標や、チップのパワーやパフォーマンスなどのシリコン動作指標の改善に役立てる。
AI技術の進化によりビッグデータの活用は次なるフェーズに移り、新たな洞察を生み出す手段として業界を問わず積極活用が進んでいる。
今回Synopsysが打ち出してきたデータ解析ソリューションは、IC開発現場のビッグデータ活用を包括的に推進するもので、設計データという資産に新たな価値をもたらすソリューションと言える。Synopsysは「EDA Data Analyticsソリューション」で収集したデータセットは、生成AI手法と組み合わせることで、ナレッジ検索アシスタント、仮定検討、問題解決ガイドといった新しいユースケースにも活用できるとしており、大手の製品開発現場では今後こういったAIベースのデータ解析ツールが積極的に採用されていくことだろう。

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2023.09.14 )