Samsungが最先端のモバイルSoC設計でSynopsysのAIエンジンを活用し最高の性能と生産性を実現
2021年11月29日、Synopsysは同社のAIベース設計システム「DSO.ai」を活用したSamsungの成功事例を発表した。
発表によるとSamsungは最先端のモバイル向けSoCの設計でSynopsysのAIベース設計システム「DSO.ai」を活用。その結果、チップの動作周波数100MHz超と当初の設計目標を上回る性能を実現すると同時にチップ全体の消費電力を大幅に削減することに成功した。設計期間は従来の人手設計よりも数週間早かったという。
Synopsysの「DSO.ai(Design Space Optimization AI)」は、フィジカル設計向けのAIアプリケーションで、これまで人間が考えて行っていた様々な工程での各種パラメータ設定を自律的に最適化することが可能。強化学習を実行しながら、最適なPPAを達成するための最適なアクションを探索する。
「DSO.ai」は2020年3月の発表以降18ヶ月間で15以上の顧客、50以上のプロジェクト、15以上のアプリケーションで利用されてきた実績があり、人手による設計では困難な設計結果を残している。Synopsysによると、設計フローの最適化、フロアプランの最適化、ライブラリの最適化、カスタムクロックの生成、PDNの最適化、ボルテージ・スケーリング、DTCO(Design Technology Co-Optimization)などにおいて「DSO.ai」が活用されているという。
Samsungは「DSO.ai」発表当初からSynopsysのパートナーとして同技術を積極的に活用しており、今回の成果を「AI技術を用いたチップ設計の記念すべき一里塚となった」とコメントしている。「DSO.ai」は高度な自律設計能力だけでなく極めて高い設計生産性を実現できる点も大きな評価を得ているようだ。
なおSamsungは今回設計したモバイルSoCを自社の最先端プロセスで製造する予定。
= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2021.12.02
)