2億ドル以上の資金を集めMIPSを買収したAIチップベンチャーWave Computiongが破産申請

2020年4月20日、SemiWikiの記事:
Wave Computingはクローズされるという情報がある。
既に同社は全従業員を解雇し、連邦破産法第11条の適用を申請したと報じられている。
まだ公式アナウンスは出ていない様子で正確なところは定かではないが、開発していた「DPU(Dataflow Computing Unit)」のパフォーマンスに問題があったという推測や投機的な理由で撤退という話が記事では紹介されている。
Wave Computingは2008年設立のいわゆるAIチップベンチャーで、米カリフォルニア州サンタクララを拠点としてワールドワイドに200人以上の社員を抱えていた。
同社は独自のデータフロー技術を用いたディープラーニング・システム「WaveFlow」に基づいた「DPU(Dataflow Computing Unit)」と呼ぶプロセッサを開発しており、計5回の資金調達で累計2億ドル以上を調達していた。報じられている最後の資金調達は2018年11月で8600万ドル。同社の投資家にはSamsungなども含まれていた。
加熱するAIチップブームの中で資金調達額で突出していたのは、Wave Computing, Graphcore, Samba Novaの3社でWave Computing以外の2社は累計4億5000万ドルを調達している。
Wave Computingは2018年6月にMIPS買収を発表し世間を驚かせた。その後MIPSのオープン化を発表しまた世間を驚かせたが、オープン化戦略は失敗に終わり2019年11月にオープン化活動を終了していた。
昨年9月には当時のCEOがわずか4ヶ月で解任されたことが報じられており社内のゴタゴタが既に現れていた。その時点で買収したMIPSを売りに出すという噂も出ていたが、MIPS事業の引受先はまだ決まっていないようだ。MediaTekやMobileyeがMIPSのビッグユーザーだったとされている。
Wave Computingの「DPU」は一般的なディープラーニング・アクセラレータのようなホストCPU+コプロセッサというアーキテクチャではなくプロセッシング・エレメントを1チップあたり16,000個搭載する単一の巨大なプロセッサアレイの構造をとる。Wave Computingは「DPU」を用いることでデータセンターでの学習からエッジの推論に対応する共通のAIプラットフォームを実現できると主張していた。

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2020.04.21 )