東芝がDNNアクセラレータを搭載した車載向け画像認識SoCを開発、処理速度10倍、電力効率4倍に

2019年2月26日、東芝デバイス&ストレージ株式会社は新たに開発した車載向け画像認識SoCについて、米国サンフランシスコで開催中の「ISSCC(International Solid-State Circuits Conference) 2019」で発表した。


発表によると今回東芝が開発した画像認識SoCにはディープニューラルネットワーク・アクセラレータが搭載されており、これまでのSoC「Visconti 4」と比較して処理速度は約10倍、電力効率は約4倍を達成。東芝が発表した論文タイトルからすると、新開発の画像認識SoCの演算性能は20.5TOPS、チップ面積当たりの演算性能は217.3GOPS/mm2となるようだ。(Visconti 4の演算性能は1.9TOPS)

東芝の説明によると開発したDNNアクセラレータは、256個の積和演算ユニットを搭載したプロセッサを4つ保持しており、積和演算プロセスの並列化により演算性能を向上。さらに電力効率を向上させる手立てとして、以下のようなローパワー策を講じた。

・中間データを保持するローカルメモリ(SRAM)を演算実行ユニットの近くに配置し、そのSRAMに収まるように深層学習の推論処理を分割することでDRAMへのアクセス回数を削減
・重みデータを事前に圧縮して保存し、読み込み時用のデータ伸長回路を追加することで、重みデータの読み込みに使用するデータ量を削減
・推論処理の各レイヤーをパイプライン接続し1回のSRAM参照で複数レイヤーの処理を実行


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東芝は今回開発したSoCの精度や消費電力を更にブラッシュアップし、車載向け画像認識AIプロセッサ「Visconti 5」として2019年9月にサンプル出荷の予定。同SoCは自動車の機能安全規格ISO 26262にも対応しているという。

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2019.02.27 )