Synopsysが複数のセキュリティ技術を盛り込んだ新たな組み込みプロセッサを発表

2016年9月12日、Synopsysは同社のプロセッサ・コア「ARC」シリーズの新製品として、高度なセキュリティ技術を搭載する「ARC SEM」ファミリの2製品を発表した。
発表によると新製品「ARC® SEM110」および「ARC® SEM120D」は、スマートメーター、NFC決済、組込みSIM(eSIM)などの金銭的な取引を伴い低消費電力が要求される組込みアプリケーションをターゲットとしたプロセッサで、Synopsysが同製品をセキュリティ・プロセッサと呼ぶことからも分かるように、優れたセキュリティ機能を複数備えている。
具体的には、サイドチャネル攻撃への対策としてインストラクション実行サイクルを均一化したり、消費電力をランダム化する機能があるほか、強化されたメモリ保護ユニットと提供される「SecureShield Runtime Library」により容易にセキュアな実行環境(TEE:Trusted Execution Environments)を構築可能となっている。
その他には、外部からの攻撃や知的財産の盗用対策として、インストラクションとデータの暗号化による耐タンパ性パイプライン、アドレスのスクランブル処理、データ整合性チェック機能が用意されており、不正な設定変更により引き起こされるシステム障害を検知し対策を講じるウォッチドッグ・タイマーも内蔵されている。
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※画像は全てSynopsys提供のデータ
「ARC® SEM110」と「ARC® SEM120D」の違いはDSP機能の有無で、「ARC® SEM120D」には、医療機器やIoT機器などより厳重なセキュリティとリアルタイム処理が要求されるアプリケーション向けに、DSPインストラクションとMUL/MACユニットが用意されている。
両製品は今年10月より出荷が開始される予定。
Synosysは屋台骨のEDAツール以外の事業としてIPやソフトウェア開発分野の事業を拡大しているが、セキュリティ関連はその主軸として積極的に投資している分野で、ハードウェア/ソフトウェアの両面からソリューションを強化している。

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2016.09.22 )