独SiemensがMentor Graphicsを約45億ドルで買収

2016年11月14日、独SiemensとMentor Graphicsは、両社間の買収合意について発表した。
発表によるとSiemensは約45億ドルでMentor Graphicsを買収。来年Q2には買収手続きが完了する見込みとなっている。
Siemensは「Vision 2020」という同社の経営戦略の下で産業向けソフトウェア・ベンダの買収を進めており、今回のMentor買収もその一環としているが、約2ヶ月前の2016年9月に米ヘッジファンドのElliott ManagementがMentorの発行株式8.1%を取得した事にって、買収話が急展開したと推測される。Siemensとして今回のMentorの買収額は過去最高。MentorはSiemensのDigital Factory Divisionにジョインする予定となっている。
Mentorは現存するEDAベンダとしては最古の企業であり、かつては売上で業界首位に立っていた。(現在は業界3位)Mentorによると同社の従業員は世界32カ国で計5700名以上。かつての回路図入力ツールに代わり、現在の主力EDA製品は物理検証ツールや機能検証ツール、エミュレータなど。MentorはEDA以外にも自動車向けの開発ツールや組込みソフト開発ツール、組込みOS、熱・流体解析ツールなどを扱っており、EDAの周辺領域における事業展開に積極的に投資していた。
業界のパイオニアが買収されるという事実はEDA業界の節目とも言えるもので、一見ショッキングな出来事に映るが、その資産は巨大なコングロマリットに引き継がれる事で、これからのサイバー社会を支える基盤技術の一つとして更に進化・発展していく事だろう。
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※メンター・グラフィックス・ジャパン株式会社

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2016.11.15 )