ARMがMali GPUの開発にCadenceの「Palladuim XP」を用いてOS立ち上げ時間を50倍高速化

2014年10月3日、CadenceはARMによるエミュレータ/アクセラレータ「Palladium XP」の成功事例を発表した。


発表によるとARMは同社のGPU「Mali-T760」の開発にCadenceのエミュレータ/アクセラレータ「Palladium XP」を利用。自社の高速シミュレーション用プロセッサ・モデル「ARM Fast Models」と「Palladium Hybrid技術」を併用する事でハードウェアとソフトウェアの協調検証環境を構築し、OSの立ち上げ時間を50倍高速化する事に成功した。

「Palladium Hybrid技術」は、Cadenceのエミュレーション/アクセラレーション環境「Palladium」とCadenceのバーチャル・プロトタイピング環境「Virtual System Platform」をインテグレーションする技術で、ARMは同技術を用いて「Virtual System Platform」上に「ARM Fast Models」を用いたプロセッサ・サブシステムを構築。エミュレータ「Palladium XP」上の「Mali GPU」と接続してシステム全体の検証環境を実現したと見られる。

CadenceによるとARMは「Palladium Hybrid技術」を用いた協調検証環境により、既存のエミュレーション単体環境よりもハードウェアとソフトウェアの組み合わせテスト全体が10倍高速化できたとしている。

バーチャル・プラットフォームを構築する上で通常ネックとなるGPU部をエミュレータで処理する手法は今年の51DACにおいてもハイブリッド手法としてCadenceは強くアピールしていた。このようなハイブリッド・ソリューションを提供できるのは大手3社だけだが、今回ARMがCadenceの同ソリューションを用いたというのはインパクトのある話と言える。

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※画像はWebサイトSemiWiki上で公開されていたNVIDIAの昨年のARM TechConでの発表資料。NVIDIAもARMと同じようにCadenceのハイブリッド手法を活用しているようだ。

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2014.10.07 )