Design Solution Forum 2016 フォト・レポート
2016年10月14日、新横浜のホテルで今年が第三回目の開催となるセミナー「Design Solution Forum 2016(以下DSF2016)」が開催された。
今年のDSF2016は計47セッション、参加スポンサー32社と過去最大の規模で実施され、会場には過去最高の520名を上回る参加者が集まった。
多彩なエンジニアの講演を聴講できるのがDSFの大きな魅力の一つとなっているが、今年のDFS2016ではその中心となる講演トラックの構成が刷新され、従来からフォーカスしているLSIの設計・検証技術に関するトラック(Design-Technologyトラック)、FPGAに関するトラック(FPGAトラック)に加え、Automotive&IoTトラック、Image&Visionトラックと特定の事業ドメインやアプリケーションに特化したトラックが新設された。
また、例年人気のある特別ディスカッションでは、高位合成、論理検証といったハードウェア設計の話題の他に、ソースコード管理やLinuxといったソフトウェア関連の話題も取り上げられ、展示会場のオープンスペースで行われたトーク・セッションにおいても、ハードウェア・エンジニアとソフトウェア・エンジニアの討論会が行われるなど、セミナー全体を通じてソフトウェアにも関連するセッションが増えた。
ここではフォト・レポートとして、Design Solution Forum 2016の様子をダイジェストでお届けします。
セミナーは今年新たにDSFの実行委員長に就任した株式会社リコー木村貞弘氏の挨拶でスタート。
DSF2016 実行委員長 株式会社リコー 木村 貞弘氏
基調講演は国内ハードウェア・ベンチャーの雄、株式会社CerevoのCTO松本健一氏が登壇。世界を相手にニッチな製品をスピーディーに展開する同社の「グローバルニッチ」戦略について語ってくれた。
株式会社Cerevo CTO 松本 健一氏
公募および招待による計20のエンジニア・セッションの中で最優秀講演賞を受賞したのはGoogleの佐藤一憲氏。佐藤氏は自社の提供するオープンソースの機械学習ライブラリ「TensorFlow」について講演した。
Google 佐藤 一憲氏
今回のDSFでは時流を反映し、Googleの佐藤氏以外にも機械学習、ディープラーニングに関連するセッションが複数実施され、多数の聴講者を集めていた。
左上:株式会社ディジタルメディアプロフェッショナル 大渕栄作氏
「エンジニアのためのいまさら聞けないディープラーニング入門」
右上:日本ケイデンス・デザイン・システムズ社 松岡祐介氏
「コンピュータビジョンやニューラルネットワークアプリケーションに最適なテンシリカVision P6 DSP」
左下:日本シノプシス合同会社 井手野雅明氏
「最新のディープラーニング技術動向とEV6xのご紹介」
右下:日本CEVA株式会社 堀江誠一氏
「CEVAの組み込みDNNソリューション」
DSFにスポンサーとして参加した出展企業による講演の中で最優秀講演賞に輝いたのは、新システムビジョン研究開発機構(NSV)の代表理事を務める東京工業大学教授の一色剛氏。
同氏はNSVが推進する東工大で開発したカスタム・プロセッサや各種IPのC/C++ベース設計技術「C2RTL技術」の詳細について講演。聴講者数は今回のDSF2016で最多だった。
新システムビジョン研究開発機構(NSV)代表理事 一色 剛氏
特別ディスカッションとして企画された4つのディスカッションは全て、参加希望者多数で満員御礼となる盛況ぶり。各セッション共に幅位広い年齢層・職種のエンジニアが集まり、個別のテーマについて熱い議論を展開。参加者の満足度は総じて高かったようだ。
左上:高位合成をディスカッションする会 モデレータ:富士ゼロックス株式会社 宮下 晴信氏
右上:DSF検証研究会-検証ってナンだ!? モデレータ:コニカミノルタ株式会社 河邉 恭氏
左下:ソースコードの管理について語ろう モデレータ:株式会社NTTデータMSE 加藤 雅和氏
右下:Linuxを語ろう モデレータ:京都マイクロコンピュータ株式会社 辻 邦彦氏
人気企画のトーク・セッションは、昨年に続いて展示会場の特設ステージにて2つのテーマで実施された。最初に行われたハードウェア・エンジニアとソフトウェア・エンジニアの討論会は、今年からDSFの実行委員会メンバーに加わった若手のエンジニア・チームが企画を担当。モデレータはDSF実行委員である三菱電機株式会社の矢野哲夫氏が担当した。もう一つのEmulator vs FPGAトークは、DSF実行副委員長の株式会社ソシオネクストの古手川博久氏がモデレータを務め、大規模LSIのシステム検証手法について討論を行った。
ハードウェア・エンジニア vs ソフトウェア・エンジニア討論会
Emulator vs FPGAトーク
今回新設されたImage&Visionトラックは、最優秀エンジニア講演賞と最優秀スポンサー講演賞の2つのタイトルを輩出したが、それ以外の講演も総じて多数の聴講者を集めていた。
画像処理ライブラリOpenCVで出来ること・出来ないこと 名古屋工業大学 福島 慶繁氏
画像処理エンジン向けアルゴリズム開発でプロジェクトを炎上させないためにすべきこと 株式会社ニコン 大渕 麻莉氏
同じく今回新設されたAutomotive&IoTトラックは、クルマとIoTをキーワードにハードウェア開発、ソフトウェア開発、様々な立場のエキスパートの講演が目白押しだった。
左上:仮想ECUを用いたテスト環境の最前線 日立オートモーティブシステムズ株式会社 宮崎 義弘氏
右上:自動運転システムのためのモデリング キャッツ株式会社 渡辺 政彦氏
左下:IoTとオープンソースソフトウェア 株式会社富士通コンピュータテクノロジーズ 浅羽 鉄平氏
右下:ますますコンバージェンスに進む半導体 株式会社テカナリエ 清水 洋治氏
FPGAの話題は今年から単独のFPGAトラックに集約され、大きな会場でセッションが実施された。FPGAの応用に関する話と高位合成を用いた実装の話が2大テーマだった。
左上:AHCIコアを使ったFPGA疑似ハードディスク化のすすめ わさらば 三好 健文氏
右上:ソフトウェア技術者による、HLSを用いたFPGA開発について 株式会社システム計画研究所 満田 賢一郎氏
左下:FPGAコンピューティング 株式会社ベクトロジー 篠田 義一氏
右下:Pythonによるカスタム可能な高位設計技術 北海道大学 高前田 伸也氏
Design Technologyトラックには、EDA技術を軸としたハードウェアおよびソフトウェア開発手法の話題が集められた。全体的に検証技術に関する実践的な事例講演が多かった。
左上:ソフトウェア志向なSoC検証への変革 株式会社ソシオネクスト 山崎 亮介氏
右上:MCUの検証品質を高めるには Part2 ルネサスシステムデザイン株式会社 植西 俊哉氏
左下:フォーマル検証へ全員ダッシュ!! 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 白石 貴紀氏
右下:検証作業自動化・効率化を目指した統合環境の構築 富士通CIT株式会社 山岸 誓氏
各講演トラックで行われたDSF2016のスポンサーによるセッションは、製品紹介というよりもツールや製品の能力を引き出すテクニックや日頃なかなか聞けない顧客の応用事例に関する話が多かった。
左上:CMエンジニアリング株式会社 野村 朋聡氏
右上:アーム株式会社 大石 敏久氏
左下:ザイリンクス株式会社 黒田 成一氏
右下:日本システムウエア株式会社 三枝 英一氏
左上:イマジネーションテクノロジーズ株式会社 阿部 道夫氏
右上:株式会社ネクストリーム 守田 直也氏
左下:日本リアルインテント株式会社 神田 和孝氏
右下:ベリフィケーションテクノロジー株式会社 羽坂 佳典氏
左上:日本シノプシス合同会社 中野 淳二氏
右上:日本ケイデンス・デザイン・システムズ社 志賀 玲子氏
左下:株式会社ジィーサス 藤田 哲也氏
右下:日本シノプシス合同会社 津村 直史氏
セミナー終了後のエンジニア大交流会は昨年を上回る熱気で、多数の講演者、来場者が交流のひと時を楽しんでいた。
Design Solution Forumは、来年も引き続き開催される予定。