さらにひろがるフォーマル技術の適用-その2:設計再利用
前回はフォーマル技術が従来の検証分野からさらに利用範囲を広げ、設計者のセルフテストに対してソリューションを提供し始めていることを紹介しました。今回はフォーマルのもう一つの新たな利用分野について紹介します。
■■新分野での利用がはじまる:設計再利用
フォーマル・アサーション検証ツールJasperGoldで業界をリードするJasper社ではそのフォーマル技術をさらに新たな分野へと活用を広げる新製品を発表します。1月に発表された「 ActiveDesign 」は、設計者のセルフテストの問題に対するソリューションでしたが、本日発表されました新サービス「 Design Activation Services 」は、長年解決されていなかった設計再利用の問題に対するソリューションを提供いたします。「 Design Activation Services 」はDVCon2009にてお披露目となりますが、ここではそのコンセプトについて紹介させて戴きます。
設計の再利用についてですが、現在プラットフォームベース中心の設計で多くのブロックが再利用されていますが、再利用する毎に再利用するユーザーやオリジナルの設計者はその組み込みのために時間と労力を費やさなければならず、再利用とは名ばかりの実態がここにあります。
・このブロックをプロジェクトの仕様に合わせて使えるか
・プロジェクトに合わせるためにはどこを修正しなければならないか
・自分の使う機能に関連しているのはRTLのどこか
・RTLのこの行を変更するとどの機能に影響を及ぼすのか
・このパスの最短のレイテンシーはどのくらいなのか
こうした疑問の答えを求めて再利用者は、仕様を読み、RTLを理解し、再利用に関連する情報を確認するためにオリジナルの設計者の協力を仰ぎます。オリジナルの設計者は、どこかでデザインが再利用されるたびにそのプロジェクトが終わるまでサポートのために時間を割かなければなりません。
ブロックが複数のプロジェクトで使われれば、そのプロジェクト毎に重複する作業が各々の再利用者とオリジナル設計者とによって繰り返えされます。その上オリジナルの設計者がいない、という状況になればもはや修正するくらいなら再度設計をしなおす、ということが発生し、再利用は実現されないことになります。
ここにもフォーマル技術が活用され、再利用者にとって必要なデザイン情報がExecutableなデータベースとなっていたら如何でしょう。Jasper社の新サービスによって提供されるデータベースを利用すれば再利用者はオリジナルの設計者のサポートを得ることなく、RTLを理解し、プロジェクトで使えるかどうか、必要な修正箇所について確認することができます。
このデータベースがあれば、毎回繰り返された再利用者とオリジナルの設計者による確認や修正作業を大幅に軽減することができ、これでようやく再利用することを想定して開発されたブロックが期待通りに再利用され、設計コストや検証コストを軽減して行くことができるようになります。
■■まとめ
このようにフォーマル技術は、従来の検証分野での貢献度を高めるのはもちろん、長年解決されていなかった設計者によるセルフテストの分野や設計再利用の分野など、新たな分野にもその利用範囲が広がりつつあります。プロジェクトを成功させるために今後ますますフォーマル技術の有効利用が重要になってまいります。
最後に宣伝となりますが、 Jasper社の新サービス「 Design Activation Services 」は、来るDVCon2009 (San Jose 2009年2月24日-26日)にてお披露目されますが、日本ではJasper社の総代理店であるCyberTecよりご紹介させて戴きます。「 Design Activation Services 」にご関心を持たれた方は是非CyberTecまでお問合せ願います。
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<筆者プロフィール>
CyberTec株式会社 片山 勝博
EDAの日本代理店を経てCyberTecにおいて営業として社内の検証コンサルタントと共に顧客の検証課題に対するソリューションを提供中。
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※今回を持ちましてCyberTec社片山様のフォーマル検証関連の連載は終了となります。