【CDNLive Japan】AIとCloudでチップ設計の変革を進めるCadence

※記事内容訂正あり 2018年7月20日、Cadenceはみなとみらいのホテルでユーザーイベント「CDNLive Japan 2018」を開催。昨年を上回る1,000人以上の参加者を集めた。


ここでは「CDNLive Japan 2018」で行われたCadenceのセッション「ケイデンスのクラウド対応EDAソリューション」について紹介する。
同セッションの講演者は、Cadence米国本社のCraig Johnson氏(VP Sales Business Development)である。

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Cadenceのクラウドソリューションは今年の6月に開催された第55回DACで発表されたばかりの新ソリューション。Craig Johnson氏はクラウドソリューションの説明の前に、その背景として世の中のクラウドサービスの成長と半導体設計の複雑化とデータ量の増大を指摘した。

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クラウドサービスの市場規模は2020年に1620億ドルに到達

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半導体の設計はより複雑化し、複数パターンで実現する5nmチップは設計データが数倍に膨れ上がる


更にCraig Johnson氏はクラウドによってコンピューティングのルールが変わったとして、半導体設計のためのクラウド戦略について語った。

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クラウド戦略4つのステップ


講演の途中でCadenceのパートナーであるAmazon Web ServicesのDavid Pellerin氏(Head of Worldwide Business Development, Infotech/Semiconductor)が登壇。同氏は今日の半導体設計においてはセキュリティと合わせてメモリ、CPUなどの膨大なコンピューティング・リソースとそれを活用した設計の自動化/スケーリングが重要であると強調した。

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なおDavid Pellerin氏曰く、Cadenceは設計環境をクラウドに移行した良い例の一つで、Cadence自身がEDAツールのリグレッション・テストなどでクラウド環境を活用。その経験とノウハウを自社の提供するクラウドソリューションに活かしているという話だ。

再び登壇したCraig Johnson氏によると、Cadenceのクラウドソリューションは、ユーザーが管理するクラウド環境に対するものと、Cadenceが管理するクラウド環境を利用するもの、大きく2つに分類できる。「CLOUD PASSPORT」はユーザーの管理するクラウド環境向けにEDAツールやライセンスサーバーを提供するもので、Amazon, Microsoft(Azure), Googleのクラウド環境をサポート。既に複数のEDAツールがクラウドで利用可能となっている。

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クラウドで使えるツールの例。物理検証ツール「Pegasus」、寄生抽出ツール「Quantus」、スタティック・タイミング解析ツール「Tempus」、パワー・インテグリティ解析ツール「Voltus」、PCB/LSIパッケージ向けSI解析ツール「Sigrity」など


「Palladium Cloud Solution」は、Cadenceの管理するクラウド環境でエミュレーター「Palladium」のリソースを提供するもの。ユーザーはエミュレーターの設定や維持管理等を一切気にせず、必要な時に必要なだけエミュレーション・リソースを活用できる。もちろん既に「Palladium」を導入しているユーザーでも利用可能である。
「CLOUD-HOSTED」は最も包括的なCadenceのク
ラウドソリューションで、Cadenceの管理するAWSまたはMicrosoft Azureのクラウド環境上でCadenceのEDAツールをスケーラブルに利用できる。

そしてもう一つ「Cadence Cloud Orchestrator」はCadenceのクラウド環境にアクセスするためのポータルで、これを利用する事でオンラインによる数ステップの手続きですぐにクラウド上でのツール活用が可能になる。Cadenceがセットアップしてくれるのはあくまでもクラウド上のツール環境でクラウドリソースの利用料はユーザーがAWSまたはMicrosoftに直接支払うことになる。Craig Johnson氏は実際に講演の途中で「Cadence Cloud Orchestrator」を用いたデモを見せてくれた。

Craig Johnson氏はCadenceのクラウドソリューションの主な利点として下記スライドの4点を挙げ講演を終えた。

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なおCadenceはクラウド戦略と合わせてAIを用いた設計品質の向上や自動化・効率化にも積極的に取り組んでいる様子で、CDNLiveで実施されていた各セッションにてAI関連のトピックスが散見された。セミナー冒頭に挨拶に立った日本ケイデンスの金子社長、基調講演を行ったCadence米国本社のTom Beckley氏(Senior Vice President and General Manager of the Custom IC & PCB Group)によると、Cadenceは既に配置配線ツール「Innovus」にディープラーニングを適用しPPA改善での成果を確認しているほか、主力のアナログ・カスタム設計ツール「Virtuoso」や各種設計支援の機能にてディープラーニングの利用を進めているという話だ。

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