Cadenceが新たな電力解析ツール「Voltus」を発表、競合よりも10倍高速で大規模容量
2013年11月13日、Cadenceは、電力解析の新製品として「Voltus IC Power Integrity Solution」を発表した。
Cadenceが今回発表した新製品「Voltus」は、既存の電力解析ツール「Encounter Power System」の後継となるフルチップ、セル・レベルのパワー・インテグリティ解析ツールで、IRドロップおよびエレクトロ・マイグレーションの解析と最適化、消費電力の解析が主たる用途で、他のCadenceツールと連携することでチップからパッケージ、PCBまで包括したパワー設計の収束に対応する事が可能。Cadenceは昨年発表したSTA「Tempus」と同様に同社のサインオフ・ソリューションにおける主要な新製品の一つとしている。
新製品「Voltus」の特筆すべき特徴は大きく3つ。
まず、並列処理機能を備えた新たなパワー・インテグリティ解析エンジンにより性能を大幅に向上。Cadenceは、市販競合製品よりも10倍高速なパフォーマンスを実現するとしている。
もう一つはデザイン・キャパシティの拡大で、複数のCPUコアおよびサーバまで拡張できる新たな階層アーキテクチャにより、最大10億インスタンスの大規模デザインに対応できるようになった。
そしてもう一つの特徴は自社の他のツールとの統合で、Cadenceは以下のツールを「Voltus」と併用することで、より包括的な形でパワー・サインオフを実現できるとしている。
・Tempus Timing Signoff Solution
・Encounter Digital Implementation SystemおよびAllegro Sigrity Power Integrity
・Virtuoso Power System
・Palladium Dynamic Power Analysis
尚、EDA関連のユーザー事例投稿などを扱うWebサイト「DeepChip」上に、とあるユーザーがCadenceの「Encounter Power System」と「Voltus」を比較したレポートを投稿しているが、それによると「EPS(8CPU)」で8-10日要したTSMC 20nm向けデザインのフルチップ解析を「Voltus(32CPU)」は26時間、約9分の1の時間で処理できたという。ちなみに同ユーザーは、「Voltus」の直接的な競合製品となるAnsys/Apacheのパワー解析ツール「Redhawk」の検討を数年前にデザイン容量を理由に見送ったという。
「Voltus」は既に出荷中で、CadenceはIntegrated Device Technology社による「Voltus」の導入事例を発表している。※プレスリリース文
= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2013.11.14
)